「名前っ!」 「神楽ちゃん……みんな」 総悟と喋らずに保健室に居たら、訪問者。それは3Zのみんな。みんなの表情はいたたまれないような複雑なそれだった。 「……知っちゃった?」 自嘲気味に私はぽつりと言った。きっとある程度なら高杉先生が言ったんだろうな。神楽ちゃん、妙ちゃん、土方君、新八君、そして総悟しか居ないこの部屋でならなんでも言えそう。 「苗字。俺たちは高杉に言われてきたわけじゃねぇ。今朝、メールが来たんだ」 「メール?」 「ええ……。名前を頼むって先生から、私たちに」 「――――!」 先生がみんなに私のことを頼むって?それじゃあ本当にさよならみたいじゃない。 「どうして……」 「何か考えがあってのことだ、と信じたいがな」 「……名前と銀ちゃんがくっついてるなんてびっくりしたアル。でも名前が幸せならそれでいいネ……って思ったのにあの天パ……」 先生はもう二度と、あの家に戻ってこない、そう確信できてしまう。だけど、私は待つしかできない。みんなだって、先生を待ってる。 少しでも先生と離れたくないのに。 ずっと隣で居てくれよ。 その言葉は嘘だったんだね。 嘘つき。それでも、好き。 101214 |