誓い やることやれば、神楽と新八、名前を連れて万事屋に戻ってきた。俺が軽く、名前との関係を話せば、2人は驚いたようだったが、新八は前に俺が話したことを覚えていたのか妙に納得した表情で神楽を連れて、家に帰っていった。 かなり気を利かせたつもりなんだろうが、当の名前は2人きりというのに緊張して、顔も上げずに俺の隣に座っている。 「な、なァ」 「え、あっ……なに?」 とはいえ、緊張してしまうのは俺も同じで、久しぶり過ぎて、何を話せば良いのかわからない。 話しかけてはみたものの、名前は慌てて顔を上げて俺の言葉の続きを促した。 「いや、えっと…前に会ったとき、なんで此処に居るって聞いたよな。……お前、俺がこの街に居ること知ってたんだろ?」 「……うん。高杉さんから教えてもらったから。でもスーパーに居るなんて思ってなかったし、動揺した」 俺、何聞いてるんだ。動揺してるのはこっちだ。 「……ごめんな。お前に酷いことしたうえに、お前を捨てて、逃げて悪かった」 「私、怒ってないよ。銀時が新しい仲間と一緒に居るってことを知ったら哀しくはなったけど。ああ、私は銀時の世界に居ないんだって」 「名前」 名前の肩は震えていた。目に涙を溜め、俺を見る。 「ずっと待ってた…!。待つのはやめて、銀時に会いに行こうって決めた。拒絶されたらどうしようって怖かった。それでも銀時に会いたかった。私だって、銀時がすきだよ…」 「名前…!」 名前を抱き締めると、胸のつかえが溶けていくような感覚がした。昔から、こいつを抱き締めるのが、好きだった。 「約束させてくれよ。もう破らねぇからよ」 「っ、ん……」 「俺、お前を護るから」 あの日と変わらない言葉を名前の耳元で囁くと、名前はこくこくと頷いた。名前を少しだけ解放し、名前の顔を見ると、涙で濡れた頬に触れて、唇を合わせた。 「銀時。……やっと、名前が呼べる。もう呼ばないって決めてたの」 「俺も、もう呼ぶ資格なんてないと思ってた」 そのままソファの上になだれ込み、あの頃より大人になった俺たちは、離れていたぶんの寂しさとぬくもりを埋めるためにお互いを求めあった。 100825 |