せっけんの誘惑
暗い室内でも洸太郎の体が汗に濡れているのはよく見えた。下着を身につけ、床へと手を伸ばす。
「じゃーん」
「あ?」
照明が落とされているせいでよく見えないらしく、小さな洸太郎の目が細められさらに小さくなった。まぬけな表情にひっそり笑いながら、その顔に例のものをさらに近づけてあげた。
「ひんやりボディシート!ほら、こっちに背中向けて」
毎日汗だくで本部にやって来る私を見かねた同僚がくれたものだった。洸太郎はあぐらをかいて素直に従う。広い背中に、そっとシートを乗せてすべらせる。石けんの香りが洸太郎から漂ってくるのがなんだか面白い。
「洸太郎なのにいいにおいする」
「一言多いんだよオメーは」
ふざけて背中にぎゅうと抱きつく。洸太郎のにおいと石けんのにおいが混じりあって、不思議と気分が落ち着いた。しばらくそうしていると、お腹に回していた手を取られていた。かと思ったらぐるんと視界が回った。のしかかる彼の体を押し返すもびくともしない。
「あれ、今日は一回のお約束でしたよね」
「煽ったヤツが文句言うな」
ああ、これは抵抗してもダメなパターンだ。まぁ、明日は休みだし、ボディシートはたくさんあるし、いいか。