So much in Love!





無機質なラウンジのテーブル上を彩る、色、色、色。向かいに座った遊真は、洋菓子店の華やかなリーフレットを興味深そうに眺めていた。


「ねぇ、遊真はどれがいいと思う?私の誕生日ケーキ」
「お前の誕生日なのにおれが決めるのか?」
「これだと思うものは何個かあるんだけど、どれもかわいいから決められなくて」
「かわいい?『おいしそう』じゃなくて?」
「女の子はそういうものなの」


遊真は不思議そうに首を傾げる。それからリーフレットを一通り眺めると、私の前に丁寧に並べてくれた。


「これだと思ったっていうのは?」
「一番最初に気になったのはこれかな」


左端のリーフレットを数ページめくり、遊真のほうに差し出した。そのページには冬季限定のケーキが並んでいる。その中の一つ、真っ白で丸みを帯びたケーキを指さした。写真の横にある断面図と説明によると、チーズムースのケーキらしい。


「これ、遊真っぽくて好き」
「おれ?」
「うん。まず見た目ね、真っ白で可愛い。中身はベリーソースだけなんだよね。シンプルだけどしっかり味が決まってるのが遊真の潔くてかっこいいところと似てるなと思ったの」
「おお、照れますな」


なんて、遊真は頭の後ろに手を回してへらりと笑った。普段はこんな調子なのに、いざという時はバシッと決める。それを天然でやってのけるんだから私はいつも身が持たない。


「そういうことなら……おれはこれだな」


遊真はがさがさとリーフレットを漁り、ある一冊を手に取る。指さしたのはカラフルなフルーツタルトだった。


「たくさん果物が乗ってるだろ」
「うん。フルーツタルト、おいしいよね」
「お前といるといろんな気持ちをもらうから、これだな」


そう言って目を細めるから、さあ大変です。私の心拍数と体温が、果てなんて知らないかのように急上昇していってるの、どうしたら伝えられるだろう。遊真、好き。結局いつもこの二文字におさまってしまう。小さく呟いたのに遊真の耳にはしっかり届いていたらしく、「急にどうした?おれも好きだけど」とまた爆弾を落とされてしまった。ああ、もう!顔を上げられない私に向かって、「うん、やっぱりお前にぴったりだな」と遊真は満足げに笑った。









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