「私達って、人形だよねぇ」
「うん、そうだね。でもいきなりどうしたの？」
「んー、じゃあ私達は物だと思うぅ？」
「うーん…ミサキはともかく、ラズリは自分のこと物だと思うよ。だってラズリはお人形だからね」
「そっかぁ…」
「ミサキは？」
「私もそうかなぁー…ラズリより人らしく造られただけってモンだしぃ」
「機能の差だけだもんね」
「んー…あ、じゃあさ、ラズリは自分の事を物扱いして欲しい？人扱いがいい？」
「……うー…ミサキってば、難しい事聞くんだね」
「あははぁ…なんか暑くて頭おかしくなってるのかもねぇ……でも、思うんだよねぇ。私達は人形という物だからこそ、それに対してどう考えてるのかをハッキリさせておいた方がいいんじゃないかってねぇ」
「…うーんと、そうだねぇ……ラズリは、人形でいいと思ってる、よ」
「じゃあ、探してる人に会ったら、ラズリはお人形として生きるのぉ？動けるように、意思を持てるようになったのにぃ？」
「それでもいいよ」
「………」
「ラズリはね、ずっとずっとチェルと一緒だったの。これからも、一緒がいいの。昔みたいに、座ったまま静かにしているだけでも」
「あ、ははぁっ……」
「ミサキ？」
「あー、ラズリの方がしっかりとした考えを持ってるんだねぇ。私の方が長生きなのに、私はずっと迷ったままなのにねぇ……」
「でも、ラズリは目的があるからだよ？ミサキはラズリみたいな目的があるわけじゃないし……ここにいる限りは無理に考える必要はないんじゃないかなぁ」
「そう、かなぁ…？私はずっと目的もなく日々を過ごしているだけなのにぃ？」
「……ミサキは、ミサキらしくっ！楽しく過ごしてればいいんだよっ！細かい事なんて、これからゆっくり考えていけばいいんだよっ！」
「ラズリぃ……」
「もうっ、目的のあるラズリと比べても仕方のない事でしょっ！ほらほら、ミサキはラズリよりお姉さんなんだから、しっかりしなくちゃダメなんだよっ？」
「あはははぁっ、そうだねぇ！……よーし、じゃあ今日はお姉さんがお菓子買ってあげるよぉっ！」
「えっ、いいの？やったー！」
「じゃあ出かけよぉーっ！」
「はーいっ！」


動く人形として、考えることもあるんです。

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