おねだり上手

※花雨をシェリーと見上げて


任務を終えて東の国から戻ったネロは、お礼として受け取ったあるものの使い道に困っていた。小さく溜め息を吐いて、そっと籠の中を覗き込む。珍しい食材で、名前は聞いたことがあるが目にするのも口にするのも今回が初めてだった。ネロは昨晩のことを思い出して僅かに口元を緩ませる。昨日の夕飯に出したテリーヌは非常に好評だった。色鮮やかな野菜を粉寒天で固め、崩れやすいその周りを薄いローズの花びらで包み込んでみた。家庭料理を作る機会が多いこともあり、洒落た料理の部類に入るテリーヌはあまり得意ではない。調べたレシピに長年の経験から培った知識と勘でアレンジを加え、半ば手探り状態で完成に漕ぎ着けた。見下ろしていた籠から顔を上げて、ネロは軽いリズムで鼻歌を歌う。結果として材料を無駄にすることもなく皆も喜んでくれ、自尊心が少しばかり満たされた。

「にしても、量が多いよなぁ……」

ネロは手持ち無沙汰にトントンと足先で床を叩き、シンクに両手をついた。エリオットから受け取った食材の特性上、一度に多量を使用できないという制約がある関係もある。昨日のテリーヌに使用した際も、中身が崩れないようにしっかり包むのではなくあくまでも彩りに添えるように使った。切り分ける際も一人が食べる量が多くならないように気を遣ったことを思い出す。この世界の食材は癖があるものばかりではあるが、その中でも食用ローズの持つ特性はとびきり難儀だ。

「まぁ、おしゃべりなローズよりはマシだよな」
「おしゃべりなローズ?それって昨日食べたローズの名前ですか?」
「おわっ…!リケ、いつの間に……」

突然背後から飛んできた不思議そうな声に、振り返ったネロは大きく目を見開いた。リケも少し驚いたように目を瞠り、思いがけずネロを驚かせてしまったことに申し訳なさそうな表情になる。

「すみません、驚かせてしまいましたか?」
「いや、ちょっと考え事しててな。俺こそ悪かった。……ええと、昨日食べたローズはぶるぶるローズって名前だ。おしゃべりなのは別の食用ローズだな」
「そうなんですね。なんだか可愛らしい名前です」

納得したように頷き、リケはふわりと破顔した。ネロは苦笑しながら籠の中に手を入れ、ローズを一つ手に取る。リケはそれを覗き込んで瞳を輝かせた。

「わぁっ、元はこんなに綺麗なんですね!昨日のテリーヌ、とっても美味しかったですよ!お代わりしたかったぐらいです」
「あはは。お口にあったようで何よりだ。お代わりが無くて済まなかったな」
「いえ。でもネロ、普段なら多めに作るのに珍しいですね」

リケの言葉にネロは曖昧な笑顔で視線を逸らした。多めに作らなかったことはローズの効能にあるのだが、好奇心旺盛な年頃のリケがそれを知れば試してみたいと言いかねないだろう。ネロは何気なく話題を逸らそうとしたが、それよりもリケがお強請りをする方が早かった。

「あの、ネロ。僕、お腹が空いてしまって……」
「あぁ……もうそんな時間か。何が食べたいんだ?遠慮せずに言ってみろ」
「えっと、このぶるぶるローズはお菓子に出来ないんですか?」

リケの言葉にネロは瞬きを繰り返す。もちろん食用花なので可能ではあるが、少しばかり調理に手間がかかりそうだ。どうしようかと考え込もうとしたものの、じっと見上げてくるリケの期待に輝く眼差しからは逃れられない。

「……分かったよ。ちょいと時間がかかりそうだが、待てるか?」
「はいっ!ありがとうございます。あの、僕もお手伝いします」

ネロはリケの申し出に穏やかに微笑み、頭の中で様々なレシピを思い描いた。食用フラワーを使った菓子作りなら過去にも経験がある。張り切って腕まくりをするリケにエプロンと頭巾を差し出しながら、ネロはふっと笑みを浮かべた。


「よし……これで完成だな」
「わぁっ、美味しそう!」

歓声を上げたリケは、大皿を覗き込んできらきらと目を輝かせる。大皿の上にはぷるぷるローズを使ったクッキーやゼリー、マフィンなど様々な菓子が並んでいた。ネロは嬉しそうなリケを横目に、汚れた器具を魔法で洗いはじめる。

「リケが手伝ってくれたお陰だ。ミチルたちを呼んできてくれるか?」

元気よく頷き、ぱたぱたと去っていったリケをネロは見送る。あっという間に洗いものを終えると、大皿へ視線を移した。手を伸ばし、ゼリーとマフィンの味見をしてみる。上品な甘さが口の中に広がり、華やかな香りが鼻から抜けていく。加減したお陰でローズの分量も問題なさそうだった。ネロは満足げに頷き、最後にクッキーへと手を伸ばす。花の型で抜いたクッキーの中央にローズのジャムが乗っており、宝石のように輝いている。口に含めばさくりとした軽い食感の後に優しい甘さがふわりと広がっていく。これも問題ないな、と笑みを浮かべようとした瞬間―――クッキーを手にしていたネロの指先が小さく震えだした。

「…っ、やべ……」

焦りが滲んだ声で呟き、ぐっと力を込めてみるが震えは止まらない。クッキーを取り落としたネロは、慌ててその場にしゃがみこんだ。リケが戻ってくる前にどうにかしなければ、と思うのに震えは一向に止まらない。額にじわりと嫌な汗が滲んでいく。ふと思いついて魔法を唱えてみるが、床に落ちたクッキーは数センチ浮き上がっただけで再び落下してしまった。心が乱れている証拠だ。

「ネロ…?どうかしたんですか?」

ネロの肩がびくりと跳ね上がる。振り返った先では、リケが不思議そうに丸く目を見開いていた。談話室の方からはルチルやミチルの談笑する声が聞こえてくる。ネロは引き攣った笑顔で後退るが、リケは目敏くネロの異変に気が付いた。

「ネロ、手が…っ!手だけじゃない…?全身が震えています!寒いんですか?」

さっと屈み込んだリケは、一回り小さな手で震えるネロの手を握り込んだ。吐息がかかりそうな距離で顔を覗き込まれ、ネロの顔はぶわりと熱を持つ。このままではまずいと思うのに、その場から動くことも震えを止めることもできない。

「あの、僕、ルチルを呼んできましょうか?」
「……ッ…待て、リケ…!」
「えっ…?でも、体調が悪いなら僕では何も出来ませんし……」

ネロは思考を巡らせながらリケの手を握り返し、半ば項垂れるように俯いてから顔を上げる。いつまでもリケが戻らなければ、ミチルがキッチンを覗きに来るのも時間の問題だろう。ネロは僅かに逡巡したのち震える唇をゆっくり開いた。

「リケ、俺を抱き締めてくれないか」
「……えっ?」

リーフグリーンの鮮やかな瞳が丸く見開かれる。リケは瞬きを繰り返して、気まずそうな表情のネロをじっと見つめた。沈黙の重さに耐えきれなくなったネロが視線を逸らそうとした瞬間、リケは再びネロの手をぎゅっと握り締める。

「それでネロを助けられるのなら、もちろん」

ふわりと柔らかな笑みを浮かべたリケは、すんなりと伸ばした腕でネロを抱き締めた。抱き締める、というよりは抱き着くような形に近い。ぎゅっと力が込められれば、触れ合った部分から子ども特有の高い体温が伝わってくる。乱れていた心が次第に落ち着いていき、少しずつ身体の震えが治まっていった。ネロは安堵の息を吐いて身体を離そうとするが、リケは腕の力を緩めてくれない。

「リケ」
「ネロ……もうちょっと、このままがいいです」

囁くように耳元に落とされた言葉に心臓がどくんと脈打つ。ネロは続けようとした言葉を見失い、困惑しながらもリケの背中をそっと撫でた。その時、談話室からミチルの笑い声が聞こえてきて二人はびくりと同時に肩を跳ねさせる。密着していた身体は自然と離れていき、ネロはリケの手を取って立ち上がった。

「えっと、ありがとうなリケ。助かったよ」
「いえ……でも、どうしてこんなことに……?」

仄かに頬を赤らめたリケが疑問を口にする。ネロは床に落ちたクッキーを魔法で拾い上げると、それをダストボックスに捨てながら苦笑した。

「あれはぶるぶるローズの特性だ。大量に食べると震えが止まらなくなるんだよ。誰かに抱き締めてもらえば止まるっていう……まぁ厄介なもんでな」
「そんな特性が……でもネロ、そんなに量を食べていたんですか?」
「味見のためにゼリーとマフィンを食ったし、俺は調理中にもジャムの味を確認してたんでな。それに、クッキーは特にローズの量が多かったせいかもしれない」

リケは、少し羨ましそうに頬を膨らませた。しかし、すぐにはっとした表情でクッキーが盛られた皿へ視線を移す。不安そうに眉根を下げてネロを見上げた。

「ネロ、これ捨てたりしませんよね…?」
「捨てはしないが、今日はお預けだな。他の魔法使いたちが震え出したら困る」

数日間であれば日持ちするだろう、と告げるとリケは複雑そうな表情を浮かべた。ネロは素直な反応に笑い、リケにマフィンが乗った大皿を手渡す。ネロもゼリーの大皿をその手に持つと、二人はともに談話室へと向かっていった。


人気のなくなったキッチンには、クッキーの大皿だけがぽつんと取り残された。不意に静穏な空気の輪郭が揺らぎ、一人の男が姿を現す。満足そうに微笑んだ北の魔法使いは、大皿を手にすると煙のようにその姿を消してしまった。


×


「腹が減りました」

顔を合わせるなりの第一声がそれか。そう思いながらも、最近は慣れてしまっているのも事実だ。ネロは呆れつつ苦笑を浮かべ、少し高い場所にある眠そうな瞳を見上げる。昼寝でもしていたのか、赤い癖毛はあちこちが跳ねていた。

「残念だったな、ミスラ。おやつの時間はさっき終わっちまった」
「一つも残っていないんですか」
「あぁ。……まぁ、ちょいと癖のある菓子なら残ってたんだが」

不思議そうに首を傾げたミスラを一瞥し、ネロは静かに首を竦めた。少し前まで大皿を置いていた場所を見遣るが、そこには何も残されていない。しかし空気中に僅かに残る転移魔法の痕跡から、誰が犯人かは予想できている。

「……残念ながら、目を離した隙に盗まれちまったようだ。あんたじゃないってんなら、犯人はもう分かったも同然だけどな」

眉根を下げて溜め息交じりに呟くと、ミスラはネロの視線の先を辿った。それから小さく鼻を動かして、納得したように頷く。

「ああ、そういうことですか」

まるで獣だなと思うが、何も口にすることはなくネロはミスラへ背を向ける。おやつを堪能した子どもたちは談話室で夢の中だ。今のうちに片づけを済ませてしまおうと呪文を唱えたネロの耳に、ミスラが呪文を紡ぐ低い声が届く。

「そうだ。もしあいつを追っかけるなら、一つ言っときたいんだけど…」

ふと思い出したことをミスラに伝えるべくネロは振り返った。しかし、空間の扉は既に閉じてしまっており、残されたのは魔法の残滓たる燐光のみだ。ネロは泡に包まれた食器たちへと視線を戻し、重い溜め息を吐く。俺のせいじゃないからな。ある意味被害者である犯人へ向け、言い訳じみた呟きを零しながら。


勝手知ったる他人の部屋。そのど真ん中に作った空間の扉から姿を現したミスラは室内をぐるりと見渡した。静寂に満たされた部屋の隅で毛布の塊が蠢く。

「……ああ、そんなところに居たんですか」

ミスラは大股でベッドに歩み寄り、床に転がる大皿を見て眉を顰めた。甘く香ばしい香りはクッキーだろうか。皿はすっかり空になっていて、細かい滓しか残っていなかった。呆れながら膝で乗り上げると、二人分の体重を受けたベッドは僅かに軋む。毛布の塊は逃げるようにベッドの端へと移動しかけたが、ミスラはそれを許さない。チッと舌打ちを零し、手を伸ばして思いきり押し倒した。

「もしかして遊んでるつもりですか?でも俺は今、そういう気分じゃないんですよね。腹が減っているのに、あなたが盗んだ分を全部食べたからです。……返事もしないなんて、いい度胸ですね。殺されたいんですか?」

焦れたミスラは相手が必死に抵抗するのを無視し、力づくで毛布を引き剥がした。再び元の状態にならないよう毛布を床へと叩き落す。熱が籠っていたせいか、雪のような肌は茹だったように朱く染まっていた。僅かに潤んだ双眸が睨んでくることに笑みを浮かべかけて、ミスラはぴたりと動きを止める。

「オーエン、あなた風邪でもひいてるんですか」

掴んだオーエンの腕―――肩から腰、下半身から足指の先まで、全身がまるで痙攣のように激しく震えていた。ミスラは訝しむように目を眇めて顔を覗き込むが、オーエンは鋭い視線でただ睨み上げてくる。唇は強く引き結ばれ、何も言いたくないという強い意思を感じた。ミスラは顔を寄せて薄紅色の唇をべろりと舐め上げる。舌に感じた甘さに口角を緩めると、オーエンの細い喉が引き攣った。

「甘いな…。本当に全部食べたんですか?意地汚いにも程がありますよ」

掴んでいた腕を握り直し、ミスラは改めてオーエンの様子を丹念に観察した。肌は赤らんでいて僅かに汗を浮かべているものの、熱があるようには見えない。震えは寒さに起因するものかと思ったが、一時的なものではなく持続性があることから呪いや魔法の類だろうと判断ができる。じっと見つめられることに居心地の悪さを感じたのか、オーエンは視線を逸らして目を伏せた。ミスラはそんなオーエンを見つめたまま、静かに思考を巡らせる。呪いや魔法を受けたのだろうが、オーエンもミスラほどではないとはいえ強い魔力を有する北の魔法使いである。簡単な手に引っかかるようなことはないだろう―――そう思いかけたところで、ミスラは先ほど舌に感じたクッキーの甘さを思い出した。床に転がっている大皿に視線を向けて、ばつの悪そうなオーエンの表情に合点がいく。

「ネロのクッキーが原因でしょう」

疑問よりも断定に近い形で囁くと、オーエンは軽く目を瞠ってこちらを見上げる。ミスラは薄く笑いながら細い顎の輪郭を確かめるように撫でる。

「以前、一緒にルージュベリーを盗み食いしたことがありましたね。あの時は唇が赤くなったり青くなったりして愉快でした。……でも、あなたが独り占めしたクッキーの方がずっと愉快な特性を持っていたようですね」

ミスラが揶揄するように囁くとオーエンは眉を吊り上げ―――何かを言おうとして諦め、重い溜め息を吐いた。ミスラの手を振り払って起き上がると、膝を立てて三角座りになる。少しでも身体の震えを抑えたいのか、自分の身体を抱き締めるような格好だ。ちらりとミスラを見上げ、オーエンはようやく口を開く。

「本当に最悪。こんなことになるなんて」
「か弱い小動物みたいでよく似合ってますよ。ほら、あなたがいつもお喋りしている動物たちに会いに行ったらどうです?お揃いじゃないですか」
「は?殺されたいの」

殺意溢れる物言いだがオーエンの声には覇気がない。身体が自分の意思に従わないという状況は、ミスラの想像以上に多大なストレスを齎しているらしかった。

「あなたに俺は殺せませんよ。……にしても、変な特性ですね。それ、どうやったら治るんですか?一生震えたままなら、面白いことこの上ないですけど」
「それは―――…」

不自然に言葉を切ったオーエンにミスラは疑問を覚える。また返事をしないつもりかと溜め息を吐くと、オーエンがもごもごと小さな声で何かを呟いた。

「なんですか。はっきり喋ってくださいよ」
「……やっぱり言いたくない」
「はあ?」

要領を得ない会話に苛立ち、ミスラは冷たい視線でオーエンを睨みつける。

「ずっと震えたままでいるつもりですか?一生笑い者ですね、オーエン」

オーエンはミスラの言葉に唇を噛んで俯く。立てた膝に顔を突っ伏してしまうと、身体が震えていることも相俟って泣いているようにしか見えなくなる。ミスラはその姿に調子を狂わされ、小さく息を吐いてオーエンの背に触れた。

「セックスでもすれば治るんです?それともキスですか?」

わざと明け透けな言葉を使えば、オーエンの背中がぴくりと震える。

「オーエン。上手におねだり出来たら俺が治してやるかもしれませんよ」

ミスラは顔を寄せて、僅かに赤らんだオーエンの耳殻を指先で撫でた。誘うようなそれに導かれるように、オーエンは焦れるほどゆっくり顔を持ち上げる。互い違いの瞳がぱちぱちと瞬いて、薄い唇がひそやかに言葉を紡いだ。

「……抱き締めて」

縋るような声で強請られて、じっとしていられるわけがない。ミスラはオーエンを壁に押し付けるように追い込み、強い力で抱き締める。振動が伝わってくるほどの激しい震えは、ミスラが抱き締めているうちにだんだんと治まっていく。大抵の毒物を打ち消せるほどオーエンの魔力が強いとしても、過剰なまでに摂取していれば話は別だ。一体どれだけの量を食べたのかという呆れはあったが、それを上回るほどにただ気分がいい。オーエンの震えが完全に止まった頃、ミスラは身体を離してその顔を覗き込んだ。安堵の表情を浮かべていたオーエンはじっとミスラを見つめ返していたが、やがて静かに目蓋を閉じる。ミスラは誘われるがままにオーエンへ口づけ、熱い口腔内を探った。小さな舌を絡め取って吸い上げれば、その舌先に未だ残る甘さに口元が思わず緩みそうになる。

「抱き締めれば治るなんて面白いですね」
「……面白いもんか。味は美味しいのに、名前も特性もふざけてるし」
「へえ。どんな名前なんです?」
「ぶるぶるローズ」
「あはは、間抜けでいいじゃないですか。そんな間抜けな名前を冠したものに引っ掛かったあなたも相当間抜けですけど」
「は?殺すよ」
「それにしても……ぶるぶるローズか。今度、俺も探してみようかな」

楽しげに呟いたミスラに、オーエンは理解できないと言いたげに眉根を寄せる。

「なんで?あれ、東の国でしか採れないしすごく稀少なんだよ。そう簡単には手に入らないって……呪術に使うの?それともまた睡眠薬でも作るつもり…」

いいえ、とオーエンの問いを否定しながらミスラは顔を寄せた。戯れのように触れるだけのキスを落とされ、オーエンの頬はじわりと赤らんでいく。

「震えているあなたは存外可愛かったので、また今度試してみようかなと」
「は……はぁ!?」

裏返った声に笑いながら、ミスラはオーエンの身体をぎゅうと抱き締めた。今度は震えを治めるためではない。放置されたままの空腹は未だ満たされないままだ。―――それならきっと、腕の中の甘味を食べて満たすのも悪くはない。



end.




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