つまらない映画のワンシーン



ワイングラスが床に落ちた。薄氷が割れるように砕ける様を、彼はつまらない映画のワンシーンを観るかのようにただ眺めている。その光景から視線を逸らした俺の首筋につめたい指先が這った。ぎくりと強張った俺の顔を覗き込んで、彼はうっそりと微笑む。

「紀田くん」

全てを見透かすような瞳が、嫌いだ。




ホーム / 目次 / ページトップ



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -