つまらない映画のワンシーン
ワイングラスが床に落ちた。薄氷が割れるように砕ける様を、彼はつまらない映画のワンシーンを観るかのようにただ眺めている。その光景から視線を逸らした俺の首筋につめたい指先が這った。ぎくりと強張った俺の顔を覗き込んで、彼はうっそりと微笑む。
「紀田くん」
全てを見透かすような瞳が、嫌いだ。
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