いっそ泣いてくれたほうがましだった



「大丈夫ですか」

オレの言葉に振り返った彼は闇色の瞳を一瞬だけ見開いて、ふっと息を吐きながら笑みを浮かべた。憂いを孕んだ表情には、諦念が滲んでいる。薄い唇からまやかしの言葉を紡ぎながら、彼は視線を逸らす。そんな風に感情を偽られてしまうのなら、いっそ泣いてくれたほうがましだった。




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