ヘリオトロープ/恋/打ち捨てる



ヘリオトロープの香りはまるでバニラのように甘い。黄色いマフラーを靡かせて屋上に佇む綾時からは、いつも同じ香りがしていた。

「甘ったるい」

ぼそりと呟くと綾時は苦笑した。

「甘い香りは嫌いかな」

あぁそうだ、俺が打ち捨てることもできず持て余している恋という感情を、きっとこいつは知らない。




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