嘘じゃない
任務も矜持も棄て去れることができればどれほど楽だろう。瞳を大きく見開いて立ち竦んだ彼からゆっくりと目を逸らした。
「嘘だろ、コンラッド」
縋るような響きの掠れた声は、俺の胸をひどく締め付ける。嘘だと言えたらどれほど楽だろう。心とは裏腹に吐き出した言葉は驚くほどに低く、そして昏かった。
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