還れない



戻ってこいよ、とおれが伸ばした手を彼が取ることはなかった。ただ曖昧な表情で目を伏せて微笑んだだけだった。おれがわがままを言った時にいつも見せていた顔で、彼はわらう。

「駄目です。俺はそっちへは行けない」

どうしてだよ!そう詰め寄りたくても、おれの手はコンラッドのもとに届かなかった。




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