廻る、廻る、



「ねぇ、一くん」

抱き合った後の、余韻の残る中。

同じく、熱の余韻を残した甘い声で。

「輪廻転生、って、…信じる?」

静かな声で問い掛けてくる方向を見やれば、いつもより少しだけ潤んだ翡翠が見つめて来ていた。

「…現実的な話ではないな」

「あはは、やっぱり?一くんならそう言うと思ってた」

けらけらと、可笑しそうに笑う翡翠を見返した。

「僕もね、そう思ってた」

布団に片肘を付いて、明るく言う声。

つい先程まで、同じ口唇から甘く切ない吐息が漏れていたなど、まるで夢の中だったかのように。

「でもね、…最近は、ちょっと信じてみてもいいかなって思ってるよ」

へら、と笑ったかと思うと翡翠の瞳を伏せて頬に擦り寄って来る。

「もし僕が生まれ変わって、ちゃんと人間になれてたとして、」

頬を、合わせながら。

「また一くんと出会って愛し合えたら、素敵じゃない?」

翡翠を蕩けさせて、笑った。

「…また出会えるとは限らないけどさ」

ぽつり、呟いた肩を引き寄せる。

引き寄せた身体から可愛くない文句が出る前にその口唇を塞ぎ、抱き締めた。

「…ならば、信じるか?」

「一くん?」

「もし輪廻転生というものが本当にあるなら、」

僅かに、抱き寄せる腕に力を込めて。

「俺は、…必ずお前を探し出す」

耳元で、そっと。

「必ず、お前を見つける」

囁いた。

「…うん」

聞き分けのいい小さな子供のように、驚くほど素直な様子で頷いて見せたかと思うと、身を預けるようにして抱きついてきた。

「君なら、きっと僕を見つけてくれるね」

「あぁ」

「…あんまり遅くなったら、浮気しちゃうよ」

「…あぁ」


「だからさ、早く見つけてよね」


僕は、寂しがりやなんだよ、ねぇ、君は知ってるよね?ね、だから、約束、と。

囁いた口唇を塞いで、吐息を深く絡める。


背に回った掌が微かに震えていたことは、気付かなかったことにした。



廻る、廻る、




待たせたりなんか、
しないから、


薄桜鬼
斎沖











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