小説 | ナノ







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「はははっ、ロミオはこの絵本が気に入ってくれたみたいだな。」

そっと近寄ると、胸元に落ちた絵本を拾い上げる。

「‥白雪姫か。」

絵本を見つめると気持ち良さそうに眠っているロミオに視線を向けた。

「今日はこの絵本をロミオに教えてあげようと思ったんだが、今日は遅くなってしまったね‥‥、――ロミオ。」

カセラ教授はふと物思いに視線をロミオに落とすと額に手を掛け、髪をかくし上げるとそっとロミオの額にキスをした。



「‥ん。」

ちょっとくすぐったいような感覚にロミオは身をすくめる。

‥ぱちり。

ロミオが目を覚ました。

がばっ!

「うわっ、カセラ教授!帰ってたんですか!?あ、僕っ!うたた寝しちゃってて‥うっ、ごめんなさい!」

目の前にカセラ教授を見つけて慌てて身体を起こすロミオ。
そんな慌てたロミオを見て微笑むカセラ教授。

「いいんだよ、私の方も予定より遅くなってしまったからね。さ、今日はお帰りなさい。親方が心配するといけない。」

ロミオと目線を合わせてしゃがんでいたカセラ教授はロミオの身なりを整えてあげた。

「はっ、はい!」

ロミオはいつの間にか暗くなった窓の外を確認すると慌てて立った。

「それじゃまた、おいで。」




しゃがんだ身体を膝を立て立つとせせっと荷物を整えているロミオを部屋のドアを開け、誘導する。

「あ!カセラ教授!今度、その絵本教えて下さいね!」

帰り際、笑顔で振り返りロミオは思い出した絵本の事をカセラ教授に約束を取り付ける。

「あぁ。わかったよ。気をつけてお帰りなさい。」

そんなロミオをカセラ教授は優しく微笑んで見送る。

「‥敵わないな。本当に天使の羽根を持っている子だね、ロミオは」

何かにあてられたかのように肩をすくめると静かにドアを閉めた。

〜fin〜






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