小説 | ナノ







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はぁ、はぁ、はぁ‥。

息を切らして街中の壁に手を着く。

「や、やっと着いた〜!」

ガチャ。
その時家の中から扉が開いた。

「あれ?ロミオじゃないか、今日は来ないかと思って心配していたところだったよ。」

扉を開けたのはカセラ教授だった。

「えっ!カセラ教授、今から出かけるんですか?」

帽子とバックを片手にしたカセラ教授をみて驚くロミオ。

「あ、あぁ。ちょうど急患が出たらしくてね。」

驚くロミオを見て、少し申し訳なさそうに答えた。

「‥そっかぁ。カセラ教授に字教わるの楽しみに来たのになぁ。遅かったんですね。。」

期待していただけにしょんぼりして反省するロミオ。
そんなロミオを見兼ねてカセラ教授は顎に手をかけ、ふと空を仰ぐ。



「‥うーん。そうだなぁ、患者さんはこの2件先のホルボスさんとこの子供の診察だからあと1時間ほどで戻れると思うから、それまで私の書斎で待っててもらえるかな?」

思い付いた提案を笑顔でロミオに向けた。

「え!‥いいんですか!?‥」

思いがけない好意に嬉しさが込み上げるロミオ。
「じゃあ、今はみんな帰っていないから勝手に上がって休んでいてくれてかまわないよ。」

ニッコリと微笑むカセラ教授。

「わかりました!カセラ教授♪」

ロミオの表情がパァーと明るくなり元気一杯な声と笑顔で答えた。








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