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二回目視聴版


「銀時、世界の誰もがあんたを忘れても、私は……私だけは、絶対にあなたを忘れたりしない……絶対だよ」

強い風が頬を撫ぜて行く。
ターミナルの崩壊した鉄骨の上に立っていた名前。
そんな名前の表情は何処か清々しそうなもので、空でも飛べそうな、そんな気分だった。

「だから、私もあなたに会いに行く」

名前はそういうと額に爪を食い込ませ、自分の皮を剥いだ。
否、自分の皮膚ではない。その皮の後ろからは名前の本当の顔が現れた。
皮と結合されていた髪の毛も一緒に剥がれていく。
そして、今では真っ白になったその、名前のまとめていた髪が現れた。
夕日に照らされたその白髪はキラキラと輝いている。

今まで、ずっと銀時には隠していた。
自分まで百詛だと知られれば、銀時はどれだけ絶望するだろうか。
考えただけでも名前の心中は重く、張り裂けそうだった。
だから、髪がどんどん白くなろうと、己の視力がどんどんなくなろうと、平然として毅然と振る舞った。
彼を一人になどさせまい、それはあの時から決めていたことだ。
名前は瞳の表面にある輝きのある青いコンタクトを外した。
もう、ここから見える夕焼けがどれほど素敵なのかもわからない。
でも、それでもいいのだ。悔いはない、あるとすれば、銀時を殺せなかったとこだけ。
何も見えないのに、名前の目からは再び涙があふれる。
でも、今度は悲しみの涙ではない。

「銀時、ずっと愛してるよ」

届いているだろうか、この言葉。
あのバカは天からこの言葉を受け取って笑っているだろうか。
まあ、会えば分る話である。
名前はそっと涙を拭って足を空に出した。
抵抗なく、彼女の体は地上へと向かって落下していったのだった。



  *



いきなりすぎて状況が掴めない中、名前は過去の、攘夷戦争時代にタイムスリップしていた。
ああ、なんだか懐かしいな、と漠然を思ってしまう。
そんな自分を追い抜いて真選組や百華、桂一派が戦に参戦していく。
向かう先には銀色の髪を持った男がいる。
なんでだろう、やんなっちゃうなぁ、こんなに嬉しいなんて、現金な女だ。そう思う。
名前はようやくその場から動きだし、彼の元へ向かう。

「全く、本当に世話が焼ける男だよね」
「!お前……」

真選組の隊士達をかき分けて前に出てきた名前に、銀時は目を見開いた。

「結局、私は無駄死にだったってわけ?この責任どーつけてくれるのか、ちゃんと弁解はあるんでしょうね」

そこには、何一つ変わらない名前が立っていた。
いつもの笑顔で名前は銀時の横に立ち、そして新八と神楽に視線を向ける。

「さぁ、行きましょうか」




執筆:2013.8.1
公開:2015.2.8


ヒロイン百詛かかってたver
次頁は細々としたよくわからん解説です。


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