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最近、巷では怪盗ふんどし仮面という下着ドロボーが出没しているらしい。
真っ赤な褌を頭にかぶり、ブリーフ一丁で闇を駆けるのだとか。
その下着ドロボーというのがまた女の敵という感じのやつなのだ。
キレイな娘の下着ばかりかっさらい、それをモテない男達にばらまくということをしている。
変態版ねずみ小僧かとニュースキャスターや世の女は総出で突っ込んだ。

「だから捕まえてください」

例によってお妙に呼び出された万事屋一行。
刹希たちが宇宙旅行に行っている最中にお妙はその変態ねずみ小僧の被害にあったのだという。
新八がお土産として持ち帰ったペンギンのようなぬいぐるみのステファンが、お妙の怒りを前に、一瞬にしてゴミと化してしまったくらいだ。
お妙は相当キレていた。

「刹希さんは被害に遭ってないんですか?」
「そうねー、自分と神楽の洗濯物は室内で干してるしね」
「そうですよね、刹希さんはそこまで美人でもキレーでもないですものね。狙われませんよね」
「ちょっとお妙話聞いてた?室内に干してるって言ったよね?」

それに刹希さん二十歳超えてますもんねとこれまたイラッとさせられることをお妙はにべもなく言ってのけた。
なんでこうも話が通じないんだ。
お茶をすすりながら刹希はなんとか自分の中の怒りを鎮めようとした。

「てか近藤さんなんじゃないですか?犯人」

めんどくせ、という思いが先行して刹希はそんなことを口走った。
お妙の下着を盗むなんて、これまでの事を考えると近藤くらいしか思い浮かばなかったのだ。
下着ドロボーが盗んでないとは断定しないが、近藤もドロボーの候補に挙がってもいいだろうと思った。

「ひどいじゃないかァ!刹希ちゃん!侍が下着ドロボーなんて卑劣な真似するわけないだろォォ!!」

テーブルの下からはいでてきた近藤がそう抗議を唱えたが、お妙の拳で一瞬にしてノックアウトされてしまった。
なにか足に当たると思ったが、こんなところにも潜んでいるとは思わなかった。
この人真選組の仕事してるのかなと疑問に思ったが空気を読んで口に出しはしなかった。

「確かにこのゴリラがとった可能性はあるかもしれません。でも今回は巷を騒がしている怪盗ふんどし仮面の仕業です」
「ああ、もう近藤さんには締めて聞き出したわけだ」

にっこり笑い返してくるお妙に刹希は確信した。
暴力受けてるのによく諦めないなあと、近藤のその根性だけは尊敬したくなった。
まあそこで伸びている近藤は決して尊敬の対象には成りえないのだが。

「てか捕まえてどーしたいのお前は」
「もちろん血祭りにあげるんです」
「さも決まってるでしょうみないな顔して言うのやめてくれないかな」
「血祭りにあげなくても警察に受け渡せばいいんじゃない?」

もしかしたら泥棒を捕まえた報酬として警察側からお金が貰えるかも知れない!と、刹希は若干ノリ気になっていた。

「それじゃ私の気が晴れません」

我が道を行くお妙である。
血祭りにあげたあと警察に受け渡せば済む話なんだろうが、それはふんどし仮面が生きてくれればの話だ。

「下着ドロなんて女の敵アル。姉御、私も一肌脱ぎますぜ!」
「よく言った、ついて来い杯を交わすぞ」
「待て待て待て!死人が出るよ!君ら二人はヤバイって!!」

意気投合した神楽とお妙はそのまま店を出ていってしまった。
ノリノリの二人ならふんどし仮面を文字通り血祭りにあげかねない。

「刹希さんどうしましょう」
「なんで私に聞くのよ?」
「いや、止められそうなのこの中じゃ刹希さんだけなんで」

イヤイヤ、私のこと買い被りすぎてしょ!と刹希は顔を引きつらせて手を振る。
神楽は百歩譲って止められるかもしれないが、さすがの刹希でもお妙を止められる気はしなかった。
むしろふんどし仮面の二次被害でも受けそうだ。

「あの二人なら十分ふんどし仮面とやらは引っ捕えられるだろ。ほっとけよ」
「引っ捕えるっていうかふんどし仮面死ぬかも知れないんですけど!」
「死んだら警察から報酬金もらえないのはだめね」
「こんな時でも金の話かいィィ!!」
「だって志村家から依頼報酬は貰えないから……」
「まずアンタらが僕に給料払えって話ですけどね」
「さて、お妙の手伝いでもしてきますかね!!」

この人あからさまに話から逃げやがったよ!
新八のツッコミも全力でお妙の後を追っていった刹希の耳には入らなかった。
てかアンタらって私給料の部分には関与してませんからと、刹希は心中弁解したとかしないとか。



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