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近所でやっている福引のガラガラから出た金色の玉。
それを見た神楽は物珍しげに声を上げた。
店員のおじさんがベルを鳴らして声高らかに当たった等を叫んだ。

「おめでとーございます!!一等ですぅ!!」

きっと今年の運全部使ったんじゃないの?
刹希は内心そう思ったのだった。



   *



家から戻った神楽と刹希。
刹希は買った野菜や冷凍ものを冷蔵庫に入れるために台所に向かい、神楽は意気揚々と居間に入った。

「あっ、お帰り神楽ちゃん」

やっと帰ってきたことに新八はお帰りを言うが、神楽の表情に疑問符を浮かべた。
それに気がついた銀時も興味なさげだが神楽に声をかけると、一層笑みを深くした。

「ムフフ、ひざまずくアル愚民達よ」
「「あ?」」

突拍子もない神楽の発言に銀時と新八は至極冷静でいた。

「図が高いって言ってんだヨ。この貧乏人どもが!!工場長とお呼び!」
「女王様の方がいいんじゃねーのか工場長?」
「女王様なんかより工場長の方が生産的だから偉いアル!やせこけた工場長とお呼び!」
「工場長トイレットペーパー買ってきてくれた?」
「……ないアル」

持っていた袋からトイレットペーパーを探すも見当たらなかったらしい。
刹希もいたのになんで忘れるんだ!と激怒する銀時に、ちょうど現れた刹希はうるさそうに耳に指栓しながら言った。

「神楽忘れてたから私が買っといたよ」
「さすが俺の刹希ちゃん!」
「銀時の物になったは覚えない」

冷静にかつ無表情で銀時の発言をぶった切る刹希なのであった。

「聞くアル奴隷どもよ!!」
「それさっきも聞いたわ」
「違うネ!!私はトイレットペーパーよりももっと素敵な紙を手に入れたヨ」

そういって神楽が出したのは二枚の紙だった。
それに食いついた男二人はその紙に駆け寄り目を見張った。
絶対に未来永劫万事屋には手に入ることのないだろう奇跡の紙。

「宇宙への旅ペアチケット!?」
「しかも二枚アル!!」
「工場長ォォ!!」

奇跡としか言いようがない。
さすがの刹希も初の宇宙とあって浮かれないわけにも行かない。
万事屋、初の宇宙旅行である。



   *



そもそも、ターミナルへ登るのも刹希にとっては初めてのことだった。
そこは銀時も同じなのだが、やはり初めて来る場所というだけあって周囲が気になって仕方ない。
銀時の物珍しそうにするも自然体でいるが、刹希はそれとはかけ離れている。
うろちょろしすぎて真っ先に銀時に動かないで!と言われたのは刹希であった。

キンコーン

金属探知機に引っかかったのは刹希もであった。

「申し訳ありませんが衣服の中に金属のものなど入っておりませんか?」
「え、ないと思いますけど」

元々船に乗るにあたって金属のものは持ち込めないことをしっかり刹希は調べていた。
絶対引っかかるはずもない!とさえ自信満々だったのだが、金属探知機に何度も引っかかる。
これはもう首をかしげるしかなかった。

「失礼します」

そういって金属発見機らしきもので体の周りを調べられると胸のあたりと足のあたりで機会が反応した。
ここに金属があるようなので出してくださいと言われてそこに入っていたものを出した。

「これはなぜ、仕込んでいるんですか?」
「え、ご信用です」
「いやいや、むしろ危ないのはあなたの方ですから」
「だってこのご時世自分の身は自分で守らないと」
「ほかのお客様の安全のために、ここに置いて行ってもらいます」
「私のクナイに何か問題でも!?」
「だから見るからに危険物でしょーが!」

クナイはダメらしい。
そうなれば仕方ないと、着物の中に仕込んでいたクナイを全部出せばさすがに係りのお姉さんはドン引いていた。
若干ショックだ。
帰ってきたらクナイ返してくれますか?と聞けば明らかに面倒くさそうにはいはいと頷き返された。
これはこれでイラッとさせられる刹希であった。


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bkm
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