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そのまた翌日。
半壊の万事屋を一晩で直したウンケイ、カイケイだ。
今回も一晩でやってくれているだろう。
万事屋一行はすぐに我が家へ向かった。

「どうだァァァ!くぬ野郎ォォ!!」
「これで文句ねーだろォ見たか!これが宇宙一の大工の腕だ!!」

確かに、要望通り居間にはシャンデリアとカラオケ、三階へ続く梯子。
そして風呂にはテレビが備え付けられている。
大工じゃなくて電気屋さんの仕事な気がするが、まあ触れないでおこう。これが宇宙一の大工の腕前なのだ。

「うわ〜スゴイや。ほんとに三階もできてる」
「私の部屋は変わってないアル!どーいうことネ!!」
「いや〜なかなかやるじゃねーか」

銀時もようやくその腕前を認めたようだ。
それを見逃さないウンケイらはすぐさま帰ろうとする。

「よーしきたァァァ、じゃっ、俺達はこれで!」
「あとは外だな」
「ねェ、私の部屋は!?」
「そっ……外ォォォォォ!?」

この男完全に調子に乗っている。
これ以上どうするっていうんだろう。

「そっ……外って、今さらどーしろってんだよ!?」
「なんで今さら、最初に言えよ!」
「オイ、私の部屋は?無視してんじゃねーぞコラ」
「いややっぱりさァ、んあんか足んないんだよね。万事屋はさァ、もっとこう……こんなカンジだったような気がする」

そういって出してきたのは外観を描いた紙だった。
流石にこのノリはついていけない。刹希は静観することを決めた。

「おいィィィィ!足りないとかそういう次元じゃないじゃん、まるまる違うじゃん!!パルテノンじゃん!!」
「そーだよ、パプペポンだよ」
「パルテノンしらねーで言ってんのかィ!!」
「そんなダサいのやーヨ!こっちにしてヨこっち!!」
「天空の城じゃねーかァァ!できるかァァ色んな意味でできるかァ!!」

やりすぎだ。
大体それにしたら一回のお登勢さん家はどうするんだ。
絶対そこ考えてないこの二人。

「もォ無理だから、もォ帰るから!」
「わかったじゃあ形は今のままでいいからとりあえず空飛ばせ」
「そこが一番問題なんだよ!!」

万事屋飛ばしてどおするんだ。
自分の移動労力なくしたいの?

「もォホントに帰っ」
「こんな話しってるか……」

逃げ出そうとしたウンケイ、カイケイの前に銀時が立ちふさがり、また話をした。
なんだか、二人が可哀そうに見えてきた。
結局、二人は銀時の作り話に感動したようで、仕事を続行することにしたようだった。
帰り際、万事屋の中へ入っていく姿を見ながら、刹希は傍らの銀時に言った。

「二兎を追う者は一兎をも得ずにならなければいいけど」
「え、やっぱり欲張りすぎた?」
「銀時、私は頭が痛いよ」

翌朝、無事に完成していればいいのだが。


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