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数字の円盤状に存在する長短の針がバラバラの数字を差し、室内が闇に包まれた頃、昴は眼を閉じたまま伸ばした腕で何かを探す。
昨日から、警護対象の家で護衛をしているのだがSPも人間。
一日中起きて仕事をしている訳ではない。
日が沈み、狙われやすい時間帯の夜になれば、睡魔が襲ってくるのは仕方がない事。
特に警護対象者であるnameの傍に一人で警護に当たる昴には常に緊張感が走っており、休憩など一切ない。
昴がゆっくり休めると言えば、睡眠中くらい。
普段であれば、寝ている時も神経を張り詰めて眠るのだが、夜の襲撃を恐れ何時もより警備員を多く動員してnameのアパートを他の者が巡回している為、昴は少しだけ気を緩めることが出来たのだ。
今日も強引に先にベッドで眠っていたnameを奥へ押しやり、彼女の隣で目を閉じた。
狭い狭いとブツブツ文句を言いながら昨夜眠りについたのだが、一人で使うのがやっとであるそれは、昴宅にある物より寝心地は良かった。
それは眠る際、nameを抱きしめて夢の中へ向かったからだろう。
仕事上枕なしで何処でも寝られる昴だが、やはり眠る時ぐらい心地よい物に縋りたいという気持ちは意識せずとも持っているようで。
今日も昨日同様、腕の中にnameを納めようとするが、女性特有の柔和な肌が見つからない。
現実と夢との狭間を行き来していた昴は、彼にしか分からないその小さな変化で目を薄らと開けた。
ここのベッドはこんなに広かったのか?
昨夜は窮屈に感じたその場所も今は人一人十分に睡眠がとれる。
怪訝な想いを持っていたが、昴はくるりと一回寝返りを打ってからようやく気付いた。
「…name!?」
施錠の確認をしてから昴がベッドに入ろうとした時、確かにnameは此処で眠っていた。
今日こそは昴にソファーで眠ってもらおうとベッドを一人で独占していたのだ。
しかし、昴がそれくらいで諦める筈がない。
彼女の考えと彼の行動は反し、今日もまた一緒の寝具で眠りについたはずだった。
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