*途中に顔文字が一部使われています
バタン、
洋服に着替えるため、開けたクローゼットを素早く閉じる。
なんか変なモノ見えた気がするが、寝呆けてるからだと思うんだ。
うん、きっとそうさ。
もう一回顔洗って来るか。
頭をリセットするために洗面所に向かおうとしたら、
バタン、
と大きな音がして、私のクローゼットがひとりでに開いた。
何これ、心霊現象!?
逃げなきゃ、と思うのに恐怖心があるからなのかはわからないが、足はまったく動いてくれなくて。
私がフリーズした状態のままでいると、クローゼットの中から人影が。
「ひっ、」
驚きしすぎて、しりもちをついてしまった。
その音に気付いてか、人影がこっちをむいた。
ぱちり、と視線が絡み合う。
「 (゜Д゜) 」
今の私の顔を表すなら、(゜Д゜)が本気でぴったり。
もちろん向こうも、驚いたような顔をしている。
「えーっと・・・・・・、」
先に我に返ったのは、クローゼットから出てきた金髪のイケメンで。
彼の声で私もはっ、とする。
クローゼットから出てきたのは、さっきも言ったが金髪でたれ目の美男子。
紫のヘアバンドとマフラーをしていて、それが落ち着いた雰囲気を醸し出している。
私の知っているゲームキャラクターて表すならば、最近ハマっているポケモンのエンジュのジムリーダーである、マツバさんにそっくりだ。
まさか、コスプレした泥棒!?
コスプレしてるのは、ヲタクの目を反らすためか!?
くそ、イケメンが!
しかし、イケメンは声までかっこいいんだな!!!
と、思考の渦に私が呑まれていると、向こうも状況を色々考えたのであろう、私に話し掛けてきた。
「君は誰?」
それはこっちのセリフなんですけどォォォ!!!
クローゼット開けたら人がいたとか、どんなドッキリだよ!!!
そう言い(突っ込み)たかったが、チキンハートな私にはそんなことできず、口を少し動かすだけで精一杯だった。
そんな私の様子をみてか、彼は少し考えて、やがて納得したように次の言葉を紡いだ。
「僕はマツバと言うんだ。」
え。
「すみません。もう一回お願いします。ちょっとうまく聞き取れなくて。」
「僕の名前はマツバ。」
え。
二回も聞いたんだ。
聞き間違いなんてないハズ。
「え、エンジュジムリーダーの?」
「うん。」
マジですか。
えっ、なりきってる人とかじゃなくてマジに!?
私が名前を聞き直したことに対しても、微笑みを携えて返してくれたイケメン。
もし、彼が仮にコスプレをした泥棒なら、動けない私を無視してさっさと逃げるハズだろう。
逃げずにここに留まっていて、しかも状況がイマイチ飲み込めないような顔をしていた、ってことは・・・、
この人本当にマツバさん!?
これは俗に言う逆トリップとヤツなのか!?
なんてぐるぐる考えていたら金髪の彼がこっちに来て、未だにしりもちをついたままの私に手を差し伸べてくれた。
「大丈夫かい?」
きらっきらのスマイル付きで。
私はその笑顔に見惚れながらも、割と冷静な頭の隅でこれからどうしよう、と考えるのだった。
奇怪現象、こんにちは
(とりあえず、靴を脱いでもらえますか?)
∵ちょっとやってみたかったんだ・・・! 続きそうでも続きませんよ(たぶん)