今日の午後になってから、なぜかあたくしのヤミカラスの様子がおかしかった。
あたくしの腕をしきりに嘴でつっついてくるし、ボールに戻そうとしてもボールの光線からは逃げてしまうし。

この子が何か伝えようとしてるのかもしれない、とそう思ったのは午後の紅茶を飲み終えてから。


ヤミカラスに先導されるがままについていくと、そこは幹部で使っている会議室のようなところ。
重要な書類があることから普段は鍵がかかっている場所で、もちろんその時もきちんと鍵が掛けられていたの。
だからあたくしはいつものようにカードをスライドさせロックを解除して扉を開けたわ。

すると驚いたことに中には人が。
鍵がかかっているはずだから入るには容易ではないはずなのに。

中にいた子は光がまぶしいのか、目をしばしばとさせていたわ。

その子の周りにはいくつかの書類が散らばっていて。
そして理解した、おそらく重要なことをいくつか知られてしまった、と。

あたくしたちロケット団が完全復活を遂げる為に、邪魔者は排除しなければ。


しかし、その人物は自分はロケット団の入団希望者だ、と言ってきた。
かなり怪しいのは確実にいえることだった。

それでも、彼女の言っていることが本当ならば喉から手が出るくらいにあたしたちが欲していた人材だった。
知識量があるブリーダーは貴重な存在なのだ。

この前、野生のメタモンが所持していたというこのよくわからないものをラムダから渡されてイライラしていたが、まさかこんなことで使う羽目になるとはね。



「…あなた、本当に入団希望者なのね?」



その場に座り込んでしまった彼女に上から声を掛ける。



「はいっ!」



とても元気のいい返事が聞けた。

どうしてこの部屋にいたのか、また手持ちが一匹も居ない状態でどうやってここまで来れたのか、思えばおかしなところはたくさんあった。
でも、深刻な人手不足である現状に贅沢は言っていられない。

それに『ここ』は実力主義の世界。
力がない人は勝手に自滅していく、それが『ここ』での道理。



「じゃ、あたくしについてきて頂戴。」

「っ!わ、わかりました!!」



不審な行動をしたら即抹殺してしまえばいい。それだけのこと。
そう思ってあたくしは彼女を招き入れた。

ヤミカラスは彼女からメタルパウダーを回収しているようだった。
あたくし優秀な子は好きよ。



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