ガチャリ、
どこかでドアノブの回る音がして、読んでいた書類(これはヤドンについての詳しい説明が書いてあった)から目を離す。
すると、ちょうど私の正面に扉があったようでそこから光が差し込んできた。
うおっ!
暗闇に目が慣れていたからいつも以上にまぶしく感じるっ!!
「あら…?」
まぶしくて扉を開けた人物の顔は見えないが、声とパッと見のシルエットでこの人はなんとなく女性であろうと推測する。
「…あなた、何者?」
「うぇ?」
少しずつ慣れてきた目をしばしばとさせながら、彼女が聞いてきた質問の意味を考える。
まさかの何者扱いときたか…。
「………そこの書類、読んでしまったようね。」
どきり、
私の足元に散らばっている紙をざっ、と見回してからの一言。
彼女の声からするに、この散らばっている書類は読んではいけないような代物だったらしい。
うひー!やばいぞ、これ!!
かなりあせりながらも、やっと光になれた目が彼女を映し出す。
「―――っ!!!」
白を基調とした服装、燃えるような赤い髪、意志の強そうな瞳。
そして胸に刺繍されている赤い『R』の文字。
なんとなく、本当になんとなく、この読んでしまった書類がそれ関係だったから予測はついていたんだけど、まさか、まさか!
「読まれてしまったからにはとっても面倒くさいのだけれど…、あなたを始末するしかないようね。」
怪しく微笑みながらも物騒な言葉を呟く女性の横には、さっきまで気づかなかったが黒いカラスのような鳥がバサバサ、と羽音をさせながら浮いていた。
どうしてこうなったのかさっぱりわからない。
だが今、自分が命の危機に晒されている状態なんだろうということは容易に想像がついた。
女性はピンポン球くらいの大きさの何かを手に持ってこちらに一歩、また一歩と近づいてくる。
えっと、あっと…、
「っ、私、入団希望者なんです!!」
色んなことが起きて思考が停止してしまったして頭から出てきたのは、この言葉だった。