ぱちり。
なんだかいきなり目が覚めた。
辺りは暗く、どうして目が覚めたのかよくわからない。
今日は休日だからゆっくりしたいと思って昨晩は早く寝てしまったのがいけないのだろうか。
しかし、なんだかベットで寝ていたにしては下(布団)が固い気がする。
よっこいしょ、っというじじくさい掛け声とともに上半身を起こすと暗くてよくわからなかったが、どうやらここは自分の部屋ではないらしい。
…あれ?
私、ソファーでうたた寝とかしちゃってたんだっけ?
それで落ちて今は床に居るとか?
割とありそうだなぁ、とか起きたばかりのあまり回転しない脳みそで、のんきにそんなことを考える。
「おっ…?」
手を少し動かすと、なんだか書類みたいな紙切れに触れた。
少しずつ慣れてきた暗闇の中で頑張ってその文章を解読する。
「ラジオ搭制圧プロジェクト…?」
何これ?
不審に思いながらも読み進めていく。
内容は、コガネシティにある大きなラジオ搭を占拠しそこからボスに呼びかけるというだけの、簡潔なものだった。
ラジオ搭制圧…?コガネシティ…?
ポケモンの世界の、しかもロケット団の?
目を凝らせば、この紙以外にも数枚書類が散らばっていることが確認できた。
興味を引かれて他のものにも目を通していく。
ラジオ搭の図面や団員の配置図など、様々なものがあった。
中にはおそらくアジトらしきところであろうの図面もあって。
…ふむ。これを見る限りかなり巨大な施設で、普通に住み心地が良さそうである。
なにやら走り書きのされている機械の設計図も見つかったが、専門用語が多すぎてさっぱりだ。
1つだけわかったことは、この機械はポケモンの電気エネルギーで動くということ。
半分寝ていた頭もこの書類を読んでいくうちにきちんと起きてきたようだ。
………というか、ここはどこなんだ。
おそらく、いや確実に自分の家でないことは想像がつく。
そしてこの書類に共通して書かれている言葉、ポケモン。
本当はまだ寝てて、夢でも見てるかな?
この前、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことを明晰夢(めいせきむ)という、とどこかで聞いたのだが、それの類だろうか?
しかし確か、経験者でなければ普通「これは夢である」と自覚すると目が覚めるんじゃなかったけ…?
うーん…、うろ覚えの知識だから詳しいことはわからないのだけれど。
さて、これからどうしようか。
…ほっとけばそのうちに目も覚めるだろうし、今は暇つぶしにこの部屋にある書類を片っ端から読んでいこうかな。