*央ちゃん宅の姫乃ちゃんをお借りさせて頂いてます。
「…あ、」
目の前であった出来事に自分は小さく声を漏らした。ぽとり、と落ちたカラフルな飴は寂しく地面に転がる。落とした張本人はと言うと気がついていないらしく、歩いて行ってしまう。
今のこの出来事はきっと自分しか見ていなかっただろう、届けるべきなのか…、と考える悠輝だが考える時間すらも無く飴の持ち主は歩き去ってしまう。時間が無いと決心した悠輝はそのカラフルな飴を手に取り走り出した。
「……あの…」
恐る恐るとその飴の持ち主へと話しかける、息は走ったせいか上がっている。だが、声はちゃんと届いていたようで飴の持ち主はびくり、と肩を揺らしゆっくりと振り向く。
「…何ですか、?」
ふわり、と甘い香りが鼻を掠める。目の前の彼女の姿に悠輝は即座に匂いはこの子からだ、と気付いた。振り返った彼女の服装は何処かで見たお嬢様学校の制服で、ふわっとした感じの癖っ毛な茶髪に自分より小さい身長に小動物みたいだ、と頭の片隅で思いながらゆっくりと口を開いた。
「……あ、これ」
「……あ、私の…」
手に握ったカラフルな飴を彼女の目の前まで持って行けば、気付いたのか声を漏らし自分の買い物袋を見て"無い"と分かったのがやってしまった、と言うような表情へと変わる。
「…ありがとうございます」
「いえいえ、買い物袋大丈夫なのか?」
恐る恐る自分の手から受け取りお礼を口にした彼女に笑いながら問えば、ばつが悪そうに苦笑いを浮かべながら"破れちゃってました"と口にした。
「…なら、これ使うと良いよ」
「あ、ありがとうございます」
はい、と手渡したのは自分の買い物袋で物はもう無くなっているから彼女にも役に立つだろうと渡した。それにお礼をし、早速破れた袋から物を取り出し新しい袋へと移す。その瞬間ふ、彼女の目線が自分に向いていることに気付いた。
「…どう、したんだ?」
「い、いえ…あの貴方の名前は?」
「…え、雪伊悠輝だけど」
「雪伊さん、…私は葛木姫乃って言います」
「…か、葛木さん…?」
突如始まった自己紹介に吃驚しながらも葛木姫乃、と頭の中にインプットする。だが、名前を覚えるのが苦手な自分は果たしてちゃんと覚えられているんだろうか?
「…あ、ごめんなさい。私…つ、じゃなくて知り合い待たせてあるので」
"すみません"と謝りながら行ってしまう葛木さん。何だか、嵐が去ったようなそんな気分で暫く唖然としていた。知り合いっていう前につ、と出ていたがその知り合いの名前なのだろうか?疑問ばかりが残された。
白昼の物語
end
* * * *
短い上に姫乃ちゃん誰だよお前、みたいなことになってしまい本当に申し訳ない…。
姫乃ちゃんが悠輝の名前を聞いたのはちょっと変わった霊圧だったから、月島さんに伝えようと。勿論、姫乃ちゃんの知り合いさんは月島さんです。
悠輝と姫乃ちゃんを名字呼びをさせたのはこれから色々と知り合って行って、名字呼びから名前とかそんな風に変わっていけたら良いなぁ…と。取りあえず悠輝に姫ちゃんと呼ばせたい。
いや、もう土下座します。
では、央ちゃんありがとうございました!