・真昼ちゃん宅の神威くんお借りさせて頂いてます。
・そしてモンハンパロであります。


鈍い断末魔らしからぬ声を上げて、目の前の巨大なモンスターは倒れた。それを確認してから手に持つ刀を振るい刃先に付いた血液を落とし鞘へと収める。はあ、と小さく息を吐き出せば白く見えるほどの寒さだった。

「おお、やるねぇ」

そんな中でこの場には似合わない陽気な声が響き渡った。その声のする方向へとナトはゆっくり首を向ければ愉しげに笑う男が一人。この真っ白な景色の中では紅蓮の赤を持った髪は良く目立っている、へらりと口元が緩んだ。

「酷いわァ。見てたんやったら助けてくれたら良かったのに」

「あれ、何のことかな?俺はついさっき此処に来たばっかだけどなー」

「へえ、そうなんや。可笑しいなァ、僕の勘違いやろか?」


互いに笑みを崩さずに棘のある言葉を吐き出す。がすぐさま、ナトは倒れたモンスターへと目をやる。それに釣られて神威もまたモンスターへと目をやり、ぽつりとまるで呟くようにして口を開いた。

「…噛みつかれた跡だな」

永久凍土の世界に君臨する迅速の飛竜、別名"氷牙竜"を持つベリオロスの首もとには大きな歯型が残されていた。凍土ではそれなりに強者の筈のベリオロスがこうも大きな傷跡を付けられることは稀なものだ。実際、ナトに狩られる前からこのベリオロスは弱っていた。一体、誰が傷を付けたのか?―――思い当たる節は互いに一つしかなかった。

「――そろそろ、血の臭いを嗅ぎ分けてくるんじゃないか?」

「…そやなァ。もしかしたら、もう何処かで僕らの息の根止めようとして、潜んでるかもしれへんね」

何時その巨大な牙や爪が自身のこの脆い皮膚を引き裂くのか、それはナトにも神威にも分からない。――普段から生き物の声が聴こえにくいこの静止した世界で少ない緊張が生まれる。だが、互いに武器を構えようとも警戒する素振りも見せずにして只来るであろう時を待つのみだった。


「……」

が、正直面倒という気持ちが勝っていたナトは淡い期待を抱いて自身の持ち物を確認してみるが、それはいとも簡単に断ち切られてしまう。一方、神威の方も持ち物を確認していたようだがナトの視線を感じては此方に苦笑に近い笑みを浮かべる。


「本当、とんだ迷惑だなあ。――で、落とし前はどうしてくれるのかな?」

にこり、と企みを含んだ笑みをナトへと向ける神威。ナト自身企みは大体目星が付き、そこがまた神威の思惑だということは分かっていた。…吐き出したため息が白く変わる。

「…落とし前も何も君にやる義理なんてあらへんよ。それより、閃光玉も無いん?」

「…はあ、全く堅いねえ。勿論無いよ、俺は鉱石取りに来ただけだって。」


"残念だったねー"と陽気に笑いながら神威はゆっくりと背にあった太刀を鞘から抜いた。綺麗に研ぎ澄まされているそれは鋭く瞬く。神威の言葉を聞きつつ同じくナトも先ほど収めた太刀を鞘から抜き出し、砥石を取り出す。

「あれ?やる気満々じゃん」

「死ぬ気ないからなァ。…まあ、いざ言う時は、君斬ってでも生き延びるから」

「ひっどいなあ、俺もまだ死ぬ気ないってば。思い残しがあるもんでねえ、」

「…君の思い残しなんて碌なもんとちゃうんやろうな」

「さっきから酷くない?」

"泣いちゃうよ"なんて言いながら笑みを浮かべている神威に言葉と表情が一致していないと言いたいが此処は無言を決め込むナトを横目に神威は太刀を構えた。その姿は本能のままに全てが愉しげに、狩人の名には相応しいものだった。


それに続きナトもゆっくりと太刀を構えたその瞬間、風を斬るようにして鋭い爪が神威を狙う。が持ち前の瞬発力を用いて避けて、一歩下がる。一方、空振りを食らったモンスターはと言うと地は凍ってある為滑り込んだ。このモンスターもまた本能のままにしてこんな極寒の地まで来たのだ。どうも此処は本能に忠実な奴ばかりが集まるようで、呆れのため息を吐き出す。

「…まあ、僕もその一人か。」

頭では制御しているつもりでもやはり身体は本能に反応する。仕方がないか、と言葉が脳裏を過ぎった時には既に身体は動いていた。神威が隙をつき太刀を振るえば髪の赤のように舞い散る赤、刃を伝い滴る赤、狂ったようにして振り上げる太刀は全て本能のままだ。



錆付いた歯車

end

****

意味が分からなくなりまして本当に申し訳ないです。何時も神威くんには惚れ惚れさせて頂いております!!そしてそして初めてきちんと神威くん書いたような気がしましたが本当に似てなくて申し訳ないです!モンハンパロもごちゃごちゃでイマイチですが…。真昼ちゃん誕生日おめでとうございます!!!
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -