*夢羽さん宅のカナデちゃんをお借りさせて頂いてます。




「……あの、」

「…ん?食べないのか?」

にこり、と笑みを浮かべるキアにカナデは内心泣きたくなった。心配そうに此方を見てくるキアに食べる事を伝えるとまた安心したように笑みを浮かべた。

ことの発端は、ほんの数分前であった。街中でばったりと出くわしたキアとカナデは少し話でも、と言うことになり近くのファミレスに行くことになり、ファミレスに着けば何故かキアがほいほいと料理を頼みカナデに押しつける。


「…あ、あの卵孵った?」

「ああ、孵りましたよ」

ほら、とカナデはボールからランプラーを出せばキラキラと目を光らせランプラーを撫でるキア。その姿を見ながらカナデはキアの瞳を改めて見てみる。色とりどりの変わった瞳に料理に手をつけながら見る。すると目線に気がついたらしいキアは満面の笑みを浮かべた。


「良かった、カナデに卵孵してもらって。ありがとうな!」

「…い、いえ」

お礼を言えば照れるのか焦りながら口にしたカナデにキアは料理を進める。カナデの手持ちでるランプラーはとても幸せそうで、嬉しかった。だから、これからは同じトレーナーとして敬語も無しの呼び捨てをするように言えば最初は拒否していたカナデだが渋々頷いてしまう。

少しして、料理を口にするカナデを目にしてキアはふ、と思い出したように口を開く。


「そう言えば、何であんな所に居たんだ?」

キアの言葉に無言になったカナデだが、すぐさまちょっと訳ありだと言うことを口にした。その表情は何処か暗く何かがあるんだと感じ取るには充分だった。

「…あの、一つ聞いていい?」

「…なんだ?」

暫くしてからぽつり、とカナデは呟くかのように口を開いた。質問に受けるように答えるとカナデは決心出来たのか真っ直ぐキアを見て口を開く。


「…どうして、私を助けたの?」

キア自身、時間が止まったようだった。どうして、あの時カナデを助けたのか?真っ直ぐ此方を見るカナデと目が合う、綺麗な水色の目は揺れている。

「…どうして、か」

どうして、と聞かれれば正直理由なんて無かった。直感だったとでも言うのだろうか?キアにはまだ分からなかった。無言が続くキアにカナデは苦笑いを浮かべる。

「…ごめん、変なこと聞いちゃって」

ごめん、そう謝ったカナデは今にも消えてしまうような気がして堪らなくて、キアはカナデの手を掴んだ。

びくり、と肩を揺らすカナデにキアはぎゅっと両手を掴みゆっくりと言葉を口にしていく。


「カナデ、独りで考え込むなよ!」

何を口にすれば良いのか分からなかったキアだったが、このままではいけないと自分なりに考えて言えば、最初は唖然としたカナデはうっすらと笑みを浮かべこくりと小さく頷いた。

この手にしたもの


end


* * * *

きっとスランプなんだと思います。本当に短い、それに最近ナトばかり書いていたせいか関西弁になっていそうで怖いです。

カナデちゃんが誰だよみたいになってしまい申し訳ないです。キアとのあれからの絡みがずっと書きたかったので書いてみました。

では、夢羽ありがとうございました!
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