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(藍染と早瀬)




「…早瀬くん、ちょっと良いかな?」

「はい」

何も変わりない日。今日はこれを終わったら金平糖でも買いに行こうか、なんて呑気にも青い空を見ながら考えていた矢先だった。呼び出された声は聞き覚えのある声で、



「…藍染隊長、一体俺にどんな用件ですか?」

自分が所属する五番隊の隊長である、藍染惣右介。俺は出来るだけ早く済むようにと話を進めるがあることに気付く


「隊長、雛森副隊長は?」

「雛森くんなら少し届け物をして貰っていてね」

「…そうですか、」

いつも"藍染隊長、藍染隊長"と飽きることもなくまるで金魚の糞のように付きまとう奴が居ない。嗚呼、これは少しやばいななんて頭の片隅で考える春は面倒臭そうに小さく息を吐いた。

「今日は早瀬くんにお願いがあってね、」

「……」

「明日の虚退治を君に行って貰いたいんだ」

どうだい?と何時もの笑みを浮かべ春に問うものの、春は即座にそれを断る。当たり前の何時もの光景、だが一つ違うのはそこに雛森の姿が無いことで。


「君の斬魄刀、それは好戦的だというじゃないか」

「斬魄刀が好戦的でも俺は違うので、」

カチャリ、と春が背負う斬魄刀"風声鶴唳"が鳴る。持ち主とはまた違う好戦的な斬魄刀と有名なこれに周りはとても春に似合う斬魄刀だとは思わなかった、その考えには藍染も同意だった。

「…実践をしなければいざと言う時、君はどうするんだい?」

「実践?…ああ、大丈夫ですよ」

"そんなもの他に任せますから"と答える春に藍染は耳を疑った。まさか自分の上司にそんなことを口にするなんてとてもじゃないが考えられない。

「…君は面白いな、」

「それはお互い様で。」




「…君はもう、気付いているんだろう?」

藍染の言葉に途端に場の空気が冷たくなるのを感じられ春は顔を小さく歪ませた。当の藍染はそれはゆっくりと口を開く、






「私は君が必要だ、」

「………」

何時もの藍染からは考えられないほど冷たい笑みを浮かべ、霊圧も禍々しく渦巻く。それは、もう春すらも見たことがない藍染の姿でありそれが本来の姿で。

「――俺は戦いません」

「…残念だよ、」



「残念?はっ、最初から分かっていた事でしょう?俺は戦わない、そっちが何をしようが俺は止める気なんてないですが、加わる気もない」


"答えなんて初めから分かりきっているじゃないですか、"鼻で笑うように口を開いた春は席を立つ。それを目にしぽつりとただ一言、藍染は口を開いたのだ。



「…君に戦意はないのかい?」

「当たり前じゃないですか」


――――迷い無く発せられた言葉は宙を舞った。



end


* * * *

春はひたすら戦いを回避。人も嫌い、必要以上な事は口を開かない。そんな一匹狼で嫌う人も多いとかそんな子。藍染の企みを知っていながら口外しないのは面倒故に潰して貰っても構わないから。だけど加わる気は全くない。取りあえずひねくれ者だけど何時か戦わせたい。






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