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(ナトベル)


「――――、」

目の前でナトがゆっくりと倒れていってしまうのがわかった。私が手を伸ばしても、それはただ宙を掴むだけで全くナトには届かなくて、声そらもまともに出なかった。


「…ナ、ト…!」

やっとのことで、発せられた言葉は何とも情けなくて震えていた。駆け寄ってナトを抱き寄せればその白いコートからじわじわと赤いものが滲みだして来るのを私は必死に震える手で止める。


「…ナト、!ねぇ…ナトってば…!!」

抑えた手はナトの血で赤く染めあがる、じわじわと広がり溢れてくる血に私は最悪の事態を予測しては否定する。そんな訳ないんだとこれは何かの間違いなんだと頭の中で何度も何度も繰り返す、


だけど、何度ナトを呼び掛けても返事なんて返っては来なくて。ただ眠っているかのように目を閉じたナトが私の目に写し出される。ぼろぼろ、と止まない私の涙はぽつりとナトの頬に落ちて流れ落ちて、まるでナトが泣いたみたいで、


「…ナトっ……」


ぎゅっと力の限りナトを抱き締める。私は何処かにあるだろうと必死に温もりを探すものの、冷たいだけの身体に現実に叩き付けられたようで、耐えられなくなって思いきり泣き叫んだ。


沢山の人がこの事態に私とナトを取り囲む中、私はその人混みの中で目を止めた―――























―――――にやり、と怪しく笑う"私"に私はゆっくりと息を呑んだのだった。



* * * *

スランプ!!!!!カゲロウデイズを聴いていたらこんなものになってしまった。立場が逆なのは最近ナト目線のお話は難しいことに気がついたからで。取りあえずベルちゃんらしくない!






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