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(ナトベル)



「…あれ、どうしたの?」

「どうしたもこうしたも、見て分かれへんの?」

「……料理…中?」

はあ、とナトにしては珍しく大きなため息を吐き出して目の前にある料理で使うのだろう沢山の野菜を見ていた。どうしたんだろう、と不安になりながらナトが目にしている野菜を同じように見つめる。

野菜…?どうしてナトは野菜なんか見てあんな難しそうな顔をしてるんだろう、謎は深まるばかりで。もしかしたら、ナトと同じように野菜を見つめていたら分かるかも、と淡い期待を私は抱きながらじーっと野菜を見つめる。

「何、してるん?」

「ナトが野菜見てため息吐いてるから、野菜見てたらもしかしたら、ナトがため息吐いてる原因が分かるかもしれなかったから」

「…頭、大丈夫なん?」

はあ、と本日二回目のため息を吐いたナトに頭の心配をされた。酷い、私は真剣に考えてるのに……

「…じゃあ、何でため息吐いてるの?」

「…野菜炒めが作られへんねん」

「…野菜、炒め……?」


オウム返しのように言葉を発せばそうや、と笑みを浮かべたナト。ナトは野菜炒めを作ろうとしていたのかと漸く分かりスッキリとしたが何故野菜炒めなんだろう?

「僕の好きな食べ物やから、」

まるで、私の心の内を読んだかのようにぽつりとナトは呟いたのだ。恥ずかしいような嬉しいような、複雑な気持ちになったのは隠しておこうかな


「だったら、私が作ってあげるよ!」

「…ベルが?」

私から見ても明らか分かるようにナトは苦笑いを浮かべた。失礼だな、私だって女の子なんだから料理くらい練習したら出来るようになるよ、多分だけど


「私がナトに野菜炒め作ってあげる!」

「ベルに包丁握らすのから怖いんやけど、僕は」


そう言って私から包丁を遠ざけるナト、失礼極まりない。私だって、女の子なんだから…それにナトに作ってあげたい。ほら、なんかさ…夫婦みたいで、


「…顔、赤いよ?」

「ちがっ…!べっ、別に何も考えてなんかいないんだから!」

「そんな焦りながら言われても全然、説得力ないで」

「……うっ、」

夫婦みたい、なんて考えた私がいけなかったんだ。熱くなる顔を必死で隠せばナトが笑い出す。嗚呼、もう恥ずかしいなあ…

「…もう、ちょっと散歩でも出掛けなよ!その間私が野菜炒め作っておいてあげるから」

「んー、しゃあないなァ…」

半分叫ぶような形でナトに言うもののナトは私を子供扱いし、へらりと笑うと出掛けて行ってしまった。

自分で行ってきて、と言っておきながらも何だか寂しくなって、それを隠すためにぺちっと気合いを入れるため頬を叩いた。

「…よーし、作るぞ!」

ナトに美味しいって言って欲しいなあ、なんて頭の中で考えながら私はナトが先ほどまで付けていた真っ白なエプロンを付けた。


end

* * * *

ベル目線のお話でナトベルを書いてしまった。

一度は書きたかった野菜炒めネタを書けて意外に満足。野菜炒めなら奴を釣れるよ!

因みにベルは料理が出来なくて、ナトが帰ってきた頃には台所爆発していたら、また美味しかったり






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