ひらひら、と手の甲に落ちてきた淡いピンク色をした花弁。それを慌てて手で花弁を掴み見ればやはり私が今一番楽しみにしていたもので、心の底から何かが湧き上がるような気がした。
「うわああ、桜だ!!」
淡いピンク色の花、桜の花弁を手に持ち子供のようにはしゃぎまくる。それを誰かに見せたくて、ソファーで眠るナトに近付く。
「ねえねえ、ナトナト!」
「………」
興奮気味に眠るナトを揺すりながら声を掛けるが起きる気配は欠片すらもない、ゆらゆらとただ身体が揺れるのみ。
腕で目を隠しながら眠るのが癖なナト、取りあえず彼は良く眠るから私は暇で暇で堪らない。はあ、とため息を吐き出して諦めずにナトの身体を揺らした。
「ねえ、ナトってばー!」
「……もう、…なに…?」
諦めずに声を掛けながらナトの身体を揺らし続ければ途切れ途切れに返事が返ってきた。だが、目の上に置かれた腕は退けない。
「ほら、これ見て見て!」
「……は、ぁ…?」
置かれた腕を退けながらナトの目の前に桜の花弁を見せる。当のナトは寝惚けている様子で私の手にある桜の花弁を見たがそれはほんの一瞬で、すぐさまソファーへと顔を埋める。
「ちょ、ナトってば!」
「……もう、ただの桜の花弁やんか」
「だだの、って…ねえお花見見しようよー」
「……僕、眠いねん」
ソファーへと顔を埋めたナトにお願いをしまくる。だって、桜だよ?私、ナトと桜なんてまだ見たことない…!
「ねえ、ナト…?」
「……」
「お願い…!」
「……はあ、ちょっとだけやで」
大きくため息を吐いたナトは仕方なしに立ち上がって言葉を口にした。その瞬間私の気持ちが高ぶるのが感じられて思わずナトに抱き付いてしまった。
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ナトベルの春模様。最近暖かくなったからついつい、自分の家の周りにも桜や梅が咲き誇ってますー。