身体のありとあらゆる場所にじくじくと痛みが走る。小さな呻き声と共に閉じていた瞼をゆっくりと開けば目の前には血を分け合った実の弟、
「……はは、吃驚するやろ?」
「………」
空笑いをしながら、軽く口にするものの目の前のトキの表情は歪めたまんまで一言も喋らん。面白くないなァ、なんて頭の片隅で考えた。
「…兄さん、」
「………」
ぽつり、とやっと喋ったトキの声は酷く震えている。このくらいで何を震えてるんやろうか、…震えていたのは声だけではなくて僕の腕を抑えていた手すらもガタガタと震えている。
「…俺は、こんなんっ…!」
「………」
「…こんなん望んでなかった!」
半端叫ぶように吐き出した言葉のあと、トキはゆっくりと俯いて声を殺して泣いていた。ぽたり、ぽたりとその水滴はトキの頬を伝い僕の手の甲へと落ちる。
トキが泣くのはいつ以来何やろうか、虚ろになる意識の中でふ、と考えるがやっぱり上手く頭が回らへん。
「なんでっ……なんで…!」
「…ちょ…もう泣きなや…」
「そんなん言うたかて、止まらんわっ…!」
「…は、ぁ…正気なん?」
僕の言葉に俯いていた顔は上へと向いた。正直、自分が泣いたらこんな風になるんかと思ったら寒気がした。…あかんわ、僕の何かが壊れそうな気がする。
「…正気やわ!ほんまにっ…なんで…兄さんが…!」
「…もう、ええから。ええ加減泣くの止め」
目を赤く充血させたトキを見てため息を吐く。世話の焼ける弟はほんまあかん、大変レベルじゃない。なんて思いながら痛む身体に鞭を打ち、立ち上がれば当たり前のように身体が悲鳴を上げる。だけど此処でまた倒れるわけもいかず踏みとどまる。
「…兄さ、ん…あかん…て」
「…僕にそんなゆっくり出来る時間なんか無いわ、」
似たようで似てない。それが僕ら、なんやから。
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最近意味の分からない話ばかり書いてしまううう。だが、この兄弟も何処までも報われないと言うことは見えているシリアス全開