暖房のよく効いた教室、退屈な授業、訳の解らない数式を解説する先生。
授業開始直後からノートを執るのを放棄していた名前は頬杖をついて、斜め前の席の平介をじっと見つめていた。先生の話を聞いているのかきいていないのか、ペンも握らず両手は机の内にしまったまま真っ直ぐ黒板をみつめている平介の周りにはほわほわと花が散っているように見える。何か嬉しい事でもあったのかな、それにしても…

(広い背中、)

今は平介の両隣が女の子ということもあってか、見慣れたはずの細長い猫背に酷く心揺さぶられたそんなときだった。ぶぶぶぶ、とポケットの中の携帯が震えたのは
どうせブログの更新通知かくだらないメルマガだろうと緩慢な動作で携帯を開いて、そこに表示された名前に思わずしゃんと姿勢を正した。

『平介ばっか見てねーで 黒板見ろ、黒板』

送り主は私の彼氏様鈴木様。タイミングを見計らったかのような絵文字も顔文字もない(逆にあったら怖いけど)簡素なメール文章。授業中にメールなんてするタイプの人ではないはずなのだけど、私そんなに平介の事見てたのかな…。でも逆に言えばこの文章から、鈴木がどれだけ私の事を見ていたかわかって、私はにやつきを止められない

(うわ、)

鈴木がそんなに私のことを気にしてくれたのかと思うと嬉しくて、さりげなく後ろを振り返ってみれば殺意の籠った目と視線がかち合い私は慌てて前に向き直った。





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