私たちがまだ友達でいたころは、彼とつきあってもきっと友達でいた時と状況は何一つ変わらず、むしろ友達だったときよりも2人の距離が離れていってしまうんじゃないかと思っていた。

「鈴木、重い」

「お前より軽いだろ」

だから今こうして鈴木の彼女でいることも、そいつに寄り掛かられているのも正直言ってしまえば信じられない。信じられないけど、日々鈴木と過ごす時間が楽しくて幸せでたまらない。ちなみに私は鈴木より重くない、絶対に
「おい、まだ日誌終わらねーのかよ」
「うーん、今日の感想って所が思い浮かばなくって」
はあ?、それまで、机に向かってホーム日誌を書く私の邪魔をするように椅子の背凭れに腰掛け更には私を背凭れにして携帯をいじっていた鈴木が向きを変えて、私の向かう机の端と端に両手をついた。うわ、近い

「ちょ、やだ近い」

視界に鈴木の顔が映る。覆い被さるようにのし掛かられて、突然のことに私は身動ぎ一つとれなくなった。
「は、照れてんのか?」
「ばっ、かじゃないの?邪魔なの、」
間近で響く鈴木の低音のか呼吸とか制服越しの体温とか、くっついてればくっついている程いろんなことが伝わってきて、正直照れを通り越して息をすることさえ辛い。唯一幸いなことは髪に隠れて私が今どんな顔をしているのか見られないことくらいだ。
「もう少しじゃねーか」
「じゃああんたが代わりに書いてよ」
「一文字百円な」
「彼女から金とる気か貴様」
そんなん関係ねーよ、そう言って私の持つシャーペンを取り上げると鈴木は、私が中途半端に書いて止めていた文にさらさらと書き足していった。指、細長っ
そしてあっという間に書き上がった日誌。ほとんどが私の丸い字で埋まった日誌は後半がやけに達筆

「合計で………4200円な」

再び私にペンを握らせてそう言い残し、自分の席へ鞄をとりに行った鈴木。
やけにあっさり離れて行った鈴木が憎たらしくて、私ばっかりが喜んでドキドキして、離れていった体温やその他もろもろを少し寂しく感じたのかと思うととても悔しかった。







(字全然違うし)(お前の字が汚いかつ丸すぎんだよ)(もっと似せて書けばよかったのに)(礼の言葉も言えねえのか、お前は)





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