いつから好きになったのかとか、どこがすきなんだとか聞かれてもわからない。
気づいたら目で追ってたし、目が合うと心臓がびっくりするし何より、彼女が自分だけのものになったらいいなあ、といつの間にか夢見ていた。

「何度も言うが敦、相手はよく選んだ方がいいぞ」
「名前ちんがいい」
「本当にか…?」
「うん」

はぁー、とため息をついて、赤ちんは「まあ別にあいつと一生を共にするわけじゃないしな」と呟いた。
赤ちんとなまえちんはいわゆる幼なじみという関係で、俺としては名前ちんに一番近い赤ちんのそのポジションがとっても羨ましい。

「名前ちん、お菓子喜んでた?」
「あぁ、初日だけな。」
「!!」

最近俺は名前ちんとどうにかして仲良くなりたくて、毎朝名前ちんにお菓子をあげることを思いついた。
それは赤ちんも賛成してくれて、名前ちんが好きなお菓子とか嫌いなお菓子とか色々教えてくれたんだけど、名前ちんの喜ぶ顔が見たくて買ってくるお菓子は日に日に増えていくのは気づいてたし、それなのにいざなまえちんの前にいくと頭が真っ白になって言おうとしていた事がわからなくなって強張って、逆に怖がらせてることもなんとなくわかってた。
だけど、いざ人からそれを言われたら流石につらい。

「名前ちん俺のこと嫌いになったかな…」
「あいつは単純で馬鹿だからな、例え嫌いになっていたとしてもいくらでも挽回の余地はあるさ」
「んー……」
「とりあえず明日、部活後に校門で待て。」
俺がどうにかするから、名前が敦をどう思ってるか聞けばいい。
そう言った赤ちんと仲良くて本当に良かったと思ったと同時に、明日名前ちんと話するのかと思うととても楽しみで明日のその時が待ち遠しくなった。




「はぁ…」

やっぱり今日も相変わらずだった。せめておはようの一言くらい言いたかったなあ
今は赤ちんに言われた通り校門で二人が出て来るのを待っているんだけどもうこの時点で既に挫けそう。
というより本当に話しかけてくれるのかな…少し疑心暗鬼になり始めた、そんな時だった。

「こんばんは、紫原君。今朝もお菓子くれてありがとう」

「なまえ、…ちん!」

本当に話し掛けてくれた…!
嬉しさのあまり思わず名前で呼んでしまってどきっとしたけど、名前ちんは気づいてないみたいで安心した。

「こんな寒いとこで誰か待ってるの?」
「ん、えと…あの…」
「ん?征十郎なら今帰るよ?私もおまけでついててもいいなら一緒に帰る?」
「え…いいの?」
「全然おっけー!」

名前ちんに聞かなくちゃ、とそうこうしているうちに名前ちんが早口に言った言葉に釣られてしまって、最終的に一緒に帰ることになった。
そこで何よりも嬉しかったのが、いつも俺がお菓子をあげにいったときに見る怪訝な顔じゃなくて、名前ちんが友達と話している時に見かけるあの笑顔で俺に笑いかけてくれたことだった。






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