「もしもし、なにー?」


それまで俺をソファーみたいにしてだまって映画を見ていた名前は、テーブルの上で突然けたたましく鳴りひびいた携帯を躊躇なくとった。
突然の音にびっくりして呆ける俺をよそに彼女は流れっぱなしの映画を止めることもせず、更に俺に目をくれようともせず、簡単に腕のなかからするりと抜けてとびっきり笑顔で電話しながら離れていこうとするから焦った。


「っ、だめ!」


「っ!!」

とっさに掴んだ名前の足首。
案の定彼女は転びそうになって俺を睨んだけど、俺の言いたいことがわかったのか少し笑って、また俺のもとに戻ってきた。
それが嬉しくて電話の邪魔にならないように名前をぎゅっと抱き締めたら、携帯からもれて聞こえてきたのは明らかに低い男の声。

『─────、──。』

「え?そうなの?ふーん、いつ?」


「………………。」


ただでさえ二人でいるとき電話されるのが嫌なのに携帯から漏れてくる声は男のもので、さらに名前が楽しそうとあってますます気にくわないし面白くない。
むっ、として携帯から聞こえてくる声に耳を澄ませながら華奢な身体を抱き直して、ちょっといたずらのつもりで近くなった白いうなじに唇を滑らせた。

「っ、」

『─────。』

「や、なんでもないよ」

名前のお腹にまわしていた腕を強く叩かれたけどむかむかするから名前が電話を切るまでやめるつもりはなかったしそれに、できるだけ平常心で電話を続けようとする名前がすごくかわいかったからやっぱり絶対にやめてやんない。

首筋とかうなじにキスをしながら、名前のお腹にまわしている手を服の上からゆるく這わせる。
びくん、と身体を跳ねさせて、少し戸惑った視線をなまえに向けられるけど俺はあえて無視をする。
なまえからはすごい甘いいいにおいがしてずっと嗅いでいたいし、お腹はむにむにしていてとってもさわり心地がいい。
おっぱいはもっとやわらかくてたぷたぷしてるけど。
そう思って名前の肩ごしに下をみると、薄着ななまえの胸元はおおっぴらにさらけ出されていて、谷間の深い所までみえた。うわ、ぁ

自分の下半身がずくんと疼いたのがわかった。


「ちょ、や、やだやだ!」


ゆっくり名前の胸元に手をもっていき、その形をたしかめるように包み込めば突然名前が顔を真っ赤にして声をあらげた。
一瞬もう電話を切ったのかと思ったけど名前の手にはまだ携帯があって、どうやら俺と電話の向こうの奴に言ったらしかった。
なんて器用な。
本気で抵抗しにかかった名前を抑え込んで、電話してない方の耳に噛みつく。

「っ、」

「いい子いい子。」

大人しくなったのを見計らって、押さえ込む力をゆるめた。
名前はこらえきれない声を相づちでごまかしながら、時節息を詰めて小さく頷いている。
電話だから頷いてんのわかんないのにね。かーわいい。
唇を噛み締める名前はそこを強く噛みすぎて白くなっていて痛そうだったから、俺は舌を使って唇を軽く吸った。


「んっ」

「は、…ん」

薄く開き熱い息を吐く名前のぬれた唇をもう一回吸い上げ、ちゅ、ちゅ、と深くて短いキスを何度も何度も繰り返す。
気持ち良さそうにされるがままになっているなまえの手に握られている携帯はもう少しで床に滑り落ちそうだ。

…って、あれ?

名前の携帯の画面はこないだ俺と一緒にとったプリクラが表示されていて、これは俺と同じに設定した待受画面。の、はず。


「…名前ちん電話きれてる?」


「ん、……あ、ばれた?」

えへへ。なんて言いつつ可愛い仕草をする名前。一体いつから……。
そういえば途中から電話の内容を盗み聞きするのを忘れていた。数分間の出来事を振り替えって考えこむ俺をよそになまえは閉じた携帯をテーブルに戻してから体の向きを変え、甘えるように俺にすりよってきた。
どこか余裕そうな名前が少しきにくわない。

「なんで言わねーの」

「だって、敦がなんか楽しそうだったから」

てへぺろ。
どこでそんな言葉を覚えてきたのか彼女はそう言って俺の胸ぐらを掴んで引き寄せ、俺がさっきしたみたいに俺の首筋をべろんとなめあげた。
ねっとりした生暖かい感触にぞわり、と何かが身体を駆け巡る。

「ねー、それより続きしよ」

「は?」

「敦のせいでえっちしたくなったのーばーかー」

「馬鹿じゃねーし」







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