ゴッ
『いっっ、』
謙也、蔵、私の3人で今流行りのモンハンをしていたら、脱衣室から響いた鈍い打撲音とそれに続く千歳の声に顔を上げた。あいつまたやったな…
「ちょっと千歳みてくる」
「名前さんとこの旦那はん世話かかりますなあ」
「あんなん旦那とか嫌やわ」
脱衣室の中をそっと覗けば、狭い室内で後頭部を押さえてうずくまる大きな身体。きっとまた洗面所の上の棚に頭をぶつけたんだ。頻繁に何度もぶつけてるところを見ていると千歳の学習能力はちゃんと機能しているのかどうか最近少し心配になってきたところで、こないだなんて目の前にあったドアにすらぶつかっていた。馬鹿だ。
「凄い音しとったけど…大丈夫?」
「全然大丈夫じゃなかぁー…」
涙目で私を見上げた千歳。わ、可愛い
世の中に「ギャップ萌え」なる言葉が存在していることをよく知らしめてくれる。黙って座ってれば格好いいんだけど、その見た目とのギャップが千歳ははんぱない。確かに今思えば千歳を知れば知る程、初対面で焼き付いたかっこいいイメージが崩れていった気がする…そのギャップに嵌められたのは自分だけれども、いやしかし元ヤンでジ●リ大好きってどうよ?反則だよね?ね?
「たんこぶんなっとらん?」
「んー、なでて欲しか」
そしたら治るたい
それより思ってたよりたんこぶが大きくなくてよかった。背の高いのは羨ましいけど、ここまで高いのも嫌だなあ…なんて千歳の頭をなでてやりながら思った
「よしよし、可愛い奴め」
「なに新婚さんごっこしてんねん、はよクエストいくで」
「これ見て新婚ゆう蔵の視力を疑うわぁ」
(新婚…!)(…千歳が旦那とかもう不安でしかないね!)(ひどかー)