夏休みが明けると同時に産休に入った英語の中川先生の変わりに新しく来た先生は、夏休み前から既に広まっていた噂以上に若くて筋肉質でかっこよかった。
そんな先生に気に入られようと躍起になる女子生徒が大勢現れ、そのおかげでとも言うべきか壊滅的だったクラスの英語のテストの平均点は(主に女子の力によって)奇跡といっても過言ではない程だだ上がった。
私も先生が気になって話してみたくて仕方なかったけれど、鈴木に知られると後が怖いので遠目に見ることしかできなかった。

そして今はそんな噂の先生の授業中。

この前の席替えで一番前のど真ん中になったことをひどく嘆いたけどもこの時間だけは中々役得かもしれない。
黒板に向かって英文を書いていく先生の後ろ姿はYシャツの上からでもわかるくらい引き締まっていて、更に腕捲りした先の腕は小麦に焼け、絞まる筋肉を更に魅力的に魅せていた。
まさに芸術、肉体美である。
きっとあのシャツの下に隠されている部分も、想像に負けず劣らず男らしい官能的な身体つきをしているのだろう。
ほぅ…、と感嘆のため息がこぼれる。
勝手な偏見でしかないが、先生のように鍛えた身体と長身を備えている人は下半身も凄いイメージがある。
簡単に言えば巨根だとか絶倫だとか。
私は、中が緩くなるのは嫌だから巨根は遠慮するが、一生に一度くらいは誰かに頭がおかしくなる位突き上げてめちゃくちゃにされてみたい。
ドSだと直良し。
鈴木はどうしてか中々そういう行為をしない。
かつ、誘ってくれないしそんな雰囲気にさせてくれない。
でもたまにした時の鈴木の言葉攻めが私は大好きで、毒を吐かれれば吐かれる程気持ちよくなる。気がする。
そういえば今月はまだ全然してないなぁ、なんて授業中にも関わらず疚しいことを悶々と考えていたせいか、少しずつ私の下半身はじくじくと疼いて熱くなってきていた。
どれもこれも先生と鈴木の言葉攻めのせいだ。

授業が終わったら鈴木を連れて資料室に籠ってやろう。
確か合鍵は私が持っていたはず。
スカートのポケットの中のゴムと鍵を確認し、残りの数分間名前は先生そっちのけでうらめしそうに時計の針を追っていた。




──────────


「おい、どこいくんだよ」
「内緒」
「もう授業はじまるぞ」
「どうせ自習だしサボろ」
「名前」

授業が終わるなり鈴木をうまく言いくるめつつ引っ張ってきた人気のないA棟三階資料室(物置)。
鈴木に本気で抵抗されないうちに名前は素早くそこの鍵を開け、鈴木を押し込んだ。
素早く鍵をかけなおし、鈴木の胸ぐらを掴み引き寄せ深く口づける。

「っ、なにすんだよ」
「なにって、ちゅー」
「はぁ!?」
「もー黙って」
「んっ、」

実はキスは私の方が上手だったりする。
最初はついばむようなキスから始まって、そこから唇を食むようにする。
段々キスに意識をとられていく鈴木の胸ぐらから徐々に手を下ろし、ズボンの上から少し膨らみのある場所を撫でる。

「───っ、ん、ぷは、っにすんだよ!」
「なにって、…そりゃあ、ねえ?」
「っ、く、痴女」

そう毒づき、真っ赤になった顔を背けてしまった鈴木。
本気で抵抗らしい抵抗はしてこないのを悟った私は急性にベルトを外し前を緩め、ボクサーパンツの上から布を控えめに押し上げる彼の形を確かめるようになぞる。

「っく、…ふ」

少し触っただけなのにすぐさま熱を持ち固くなっていくそれはとてもいとおしくて、私はたまらず布越しにその先端に吸い付いた。

「っ!?く、ん……はっ」

「すぐいれてもいい?」

邪魔なパンツを下にずらし、硬くなってきた幹を軽く扱きながら上目遣いに見上げれば軽く睨まれてしまった。
腹いせに一回イかせてやろうかと思ったけれど、時間がもったいないからやめた。
すぐにゴムを装着して、慣らす必要のない既にぐずぐずな私の中に鈴木の熱いそれを押し込んだ。

「やん、ふぁ、ん…気持ち、い」
「っ、……キツい」
「あ、あっ、ね、動いてっ」
「……ちっ」

久しぶりに中を押し広げる熱い塊に力が抜ける。すごく気持ちい。
がたん、鈴木に力任せに壁に押し付けられ、後ろから勢いよく乱暴に突き上げられる。
そうなると頭の中が真っ白になって、学校内にもかかわらず大きな声をあげてしまいそうになるのを指を噛んで必死で堪える。

「は、……くっ、」

「ぅあっ、…あっ、んんんっ……やあぁっ」

「ばか、声でけえよ」

「あぁん、や、だって、激しいっん」

足の付け根をしっかり固定され、がつがつと緩まることのない腰の動きに力なんてもう入るわけがなくて、壁を伝いずるずるとへたりこんでしまう。
肌と肌がぶつかりあう音から、鈴木のものが激しく出入りするたびぐちゅぐちゅと鳴る卑猥な音へと変化し、狭い室内に響く。

「おい、ちゃんと立ってろ」

「あぁ、んっ、むりぃ、っやぁあっ」

私がへたりこんでもまだ律動が止むことはなくって、腰だけをつきあげたまま床にしなだれて喘ぐことしかできない私を鈴木は起こし上げ、反転させた。
座ったまま向かい合う形になり、さっきより彼のものが深く刺さる。

「ひぁあっ、やだっ、んぁあぅ」

「っく、…はぁっ、」

足先から脳天まで駆け巡る快感にたまらなくなり、鈴木にすがるようにぎゅうぎゅうと抱きつく。
鈴木が洩らす切なげな吐息が耳と肌を滑り、そんなささいな刺激にさえきゅうと中が締まるのを感じた。

「くっ、…邪魔」

「あ、ん、だめもういっちゃうあぁっ、んっ、…──ふぁあ、すずっ、好きぃっんんんんっ!」

「っな、…く、ぁっ」

頭がおかしくなるんじゃないかと思うくらい一際強い快感の波が全身を駆け、無我夢中で彼にしがみついたまま戦慄いた。
それに少し遅れてびくん、と中に収まる熱い塊がふるえ、ゴム越しに勢いよく欲を放つ。

「んんぅ、やぁ、あつ…」

「はっ……は、…」

くたりと力の入らなくなった体を鈴木に預ける。
いつもならすぐに抜かれてしまうそれは、今は出ていく気配が全くない。
珍しいこともあるもんだなあなんて、まだ中でひくつく彼のものを感じながら朦朧とした頭で思った。


「ん───っは、…つかれ、たぁ…」
「動いてねえくせによく言うな」
「気持ちくて死ぬかと思った」
「いっそ死ね。いつも耐え性がねえんだよお前は」

散々な言われようである。せめて感じやすいと言ってほしい。
反抗しようと出かかった言葉は、あぐ、と唐突に首筋に強く噛みつかれてしまったことで引っ込んでしまった。代わりに出た情けない声に、ほらみたかと鈴木の鼻で笑う声がきこえた。ちくしょうめ。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -