青峰とのセックスは意識が飛びそうになって、もうどうにかなっちゃいそうなくらい気持ちよくて、さらにそれに追い討ちをかけるかのように激しくて長くて挙げ句回数が多い。
本当、我が身の死を覚悟しなきゃいけないくらい。
さらに言わせてもらえば、奴は己の体力と精力が続く限り多分本能のままかつ自分が思うまま私を突き上げ揺すり、まるで私の全てを知っているかのように何度体位を変えても上手く私の一番感じる場所だけを擦りやがる。
だから青峰が満足する頃には私はもう虫の息で、意識こそもう飛ばさなくなったが行為途中の記憶なんてもちろんほとんどない。
だいたいにおいて、日々バスケ部で持久力やら筋力やらを鍛え上げている奴に、帰宅部で家に帰ればごろごろするかお昼寝するかしかしてない私が(こんなバケモノに)ついていけるわけがないんだ。
奴はどう考えてもそれをわかってない。


「おい、水飲むか?」

「………………。」

まだ余韻の残る身体は見事に動かなくて、まばたきをすることすら気だるく億劫だ。
まだ動けず枕に突っ伏しているそんな私をよそにけろっとした顔で飲みかけのミネラルウォーターを差し出してくる青峰を忌々しく睨みあげた。
しかもペットボトルの中身はもう二、三口くらいしかない。
前から思っていたけれどなんて無神経な奴だ。

「仕方ねぇなー」

「なにが」

呻くようにでた声はやっぱり渇れていて、それを聞いた青峰は眉間に皺を寄せて残っていた水を一気にあおった。
私も飲みたかったのに。
言いたい文句はあったけど、口いっぱいに水を含んだ青峰が少し間抜けで可愛くて、ちょっとだけ頬を緩めて笑ったら、ゴクン、不意に笑った私にびっくりしたのか青峰は目を見開いて、喉を鳴らせて含んでいた水を飲みこんだ。
多分、全部。
と同時に、さっきよりも鋭い眼で睨まれる。

「お前のせいで飲んじまっただろうが」

「は?」

「せっかく飲ませてやろうと思ったのによ」

ちっ、と小さく舌打ちして顔を近づけてきた青峰。
え、ちょ、水ないのにキスするのか。
遅れた抵抗は(っていっても口を固く閉じるしか出来ないんだけど)やっぱり意味がなくて、当たり前のように侵入してきた青峰の舌を押し出してやろうと思ったけど、それはいつもと違ってすごく冷たくてきもちよかったからやめた。

「んっ」

「……は、っ」

青峰がわざと流し込んでくる唾液を、私は夢中になって舌を絡めそれを飲み込む。
自分が飲み込んでしまった水の代わりだろうか…。


「ふ、…んく」


青峰の舌はすぐいつもの温度を取り戻してしまった。
さらに、私と青峰はさっきまで散々お互いを求めて愛しあったばかりなのに(まあ一方的だった気もするけど)、懲りずにまた舌を指を絡めて唾液まみれになりながら馬鹿みたいにお互いを貪りあう。

いつまでするんだろう。

私も青峰もろくに呼吸なんてできてないのに、長ければ長い程どっちも苦しくなるだけなのに、なかなか離れない青峰を薄く目を開けてみればあの竦み上がるような鋭い目は固く閉じられていて開く気配はない。

そんなときだった。

「っ、ん゛んーっ!」

いきなり肩を捕まれたかと思ったら身体を反転させられ、あっという間に組み敷かれた。
動きが滑らかかつ速すぎて一瞬何が起こったかわからなかった。ほんとに。

「っ、は……んだよ」

「ばか!」

唇をはなしてもなお近づいてくる筋肉質な胸板をおもいきり押す。
またやるきなのかこいつは。ほんとに人間か!
青峰の底無しの体力にひやりとしつつ手の力を緩めないでいると、不意に額にキスがふる。

「心配しなくてもお前が思ってるよーなこたぁしねえよ」

「嘘」

ホーント。
そう言ってこてんと肩に頭を乗っけられて思わずときめいたのもつかの間で、その後容赦なくかけられた青峰の体重に今度こそ本気で死を覚悟した。





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