「もーやだ!ばかばかあほわからずやガキ!あんたなんてしんじゃえ!」

ばたーん!
最高にむかつく捨て台詞を吐いて名前はアパートから出て行った。どーせ行くあてもないのに。
随分まえから名前がぎゃーぎゃーわめいていたのを聞き流していた俺は何が原因で喧嘩になったのかすらもう思い出せないし、そのせいか少しも腹が立ってない。腹はへっている。……もしかしたらそれが原因なのかもしれねーけど、
とりあえずこの時の俺は名前が出ていってもどうせいつものように何時間かしたらまた帰ってくるだろうと高を括っていた。








「……それで、現実はそう甘くなかった。ってこと?」
「そー…名前室ちんのとこにきてない?」
「いや、来てないなぁ。学年一緒なら会わないの?」
「ぜーんぜん」
「携帯は?」
「……たぶん着拒された」
「メールは?」
「…………アドレス変えられた」
「ワオ、名前もやるねー」

可笑しそうに笑う室ちんに軽く殺意的な感情が芽生えた。まじ、全然笑い事じゃねーから。
名前が出て行ってから今日で5日目。
たかが5日、されど5日。
この5日間本当に長くて大変だった。
まず朝は当たり前だけど誰も起こしてくれないし朝ご飯もない。なんとか自分で作ってたべたら次は制服のYシャツがどこにあるかわかんなくて、やっと見つけてもしわくちゃで着れたものじゃない。それでもそれを着るしかないから着て、ネクタイをしたらそういえば自分はネクタイの結び方を知らない。
今日もそうこうしているうちに時間がたっていて、学校についた時にはもう時計は10時をまわっていた。

「名前ちん誰の家にいるんだろ…。」

男の家だったら泣かす。
名前が帰ってくることよりもそっちが重要なのかとつっこみをいれたくなったが、紫原の剣呑な雰囲気に氷室は視線を泳がせた。

実は氷室は紫原の話を聞くより前に事の経緯を既に知っていたのだ。


「(……主将が危ないかもしれない)」





その頃主将宅では───

「モミアゴ先輩おかえりなさい!夜ご飯できてますよ!」
「!!」

部活帰りの岡村が絶賛幸せ噛みしめ中だった。





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