廊下を歩いていると向こうから、こちらへ向かってくる人影を見つけ、首を傾げる
その人影が誰だかわかった瞬間私は思わず隠れてしまった
実はその人……土方君にずっと前に告白され、付き合ってほしいと言われた
初めて告白されたからちゃんと、考えたい……。
そう素直に土方君に伝えると、怒らずに「わかった」と言ってくれた。
女子達に虐められて、体育倉庫に閉じ込められた時。
暗いそこから明るい外に連れ出してくれたのは、土方君だった
最初は、クラスの優等生としてやった事なんだろうと気にしていなかった
だけど違った。
土方君は誰にでも優しい。
それを理解した上でも、メルアドをきいてくれたり
遊びに誘ってくれたり…そういう事がとても嬉しかった
私はそんな優しい彼が好きだ
みんなに優しくて、それは私だけの特別って訳ではないけど
私は土方君の暖かい光に惹かれた
だけど『好きだ』と言えない私がここにいる
初めての告白だからと誤魔化している私がいる
好きなはずなのに、どうしても『うん』と言えなかった
それとも私は……好きじゃないのかな?
ただの勘違いなのかもしれない…
だから好きだとはっきり言えないのかも。
それとも…
土方君を好きだと言って、また女子達の反感をくらって虐められるのが怖いから……?
自分が…傷つきたくないからなの?
「どうして?」
そう何度、心に問いかけても私の心は答えてくれなかった
答えを知るのは誰?
答なんか誰も知らない
もともと答なんか無い
そう誰かが嘲笑った
→
前/次/目次