「あ〜…最悪」


沖田さんに無理矢理押し付けられた日直が終って帰ろうとしたら、雨が降り出した。


朝から怪しい雲行きだったけど、とうとう降り出した。



「傘ないんだけど…」



仕方ないと雨がやむまで図書室で暇つぶしをする事にした

雨の所為か図書室はジメジメしてた。



「あ…」

「あ…」



図書室に一人、本を読んでいた真威ちゃんと目があった。



季節外れの転入生というだけで目立つのに、容姿端麗、頭脳明晰、おまけにクールな真威ちゃんは男子にモテモテ。

反対に一部の女子には反感をくらっている。



「一人?」


「…うん」



口数が少ない。笑わない。そんな所にも惹かれるのは、この落ちこぼれ高校にはいないタイプだからだろうか?



「雨降って来たから…やむまで待ってる」


「あ、俺も」



こんな時、俺が傘持ってたら一緒に帰れたのに…おしいことしたι

あ、でも一緒にいれる!



「隣、いい?」


「…どーぞ」



てきとうな本を持って真威ちゃんの隣に座った。

…………
………………
……………………



沈黙が苦しいィィ!
何か話した方がいいのかな!?

でも真威ちゃん本読んでるし、邪魔だよね!?



「えっと…何読んでるの?」


「……」



うわぁっι無視だよ、無視ィィ!!無視されちゃったιι



「…笑わない?」


「へ?…うん」



少しためらったみたいに真威ちゃんは口を開いた。



「白雪姫……」


「え?」



い、意外にも乙女っぽい話を読んでるんだな…

なんかカワイイ…。



「クスッ可愛い」


「なッ…///」



俺を見て、顔を真っ赤にする真威ちゃん。

またもや意外な一面。



「ごめ…帰るっ///」


「えェェ!?」



突然真威ちゃんは図書室を飛び出して行った。



「え、ちょっ、待って!」



反射的に追い掛けて、結局外まで出て来てしまった



「あ……」



門の所で真威ちゃんが、日頃は見せない笑顔で空を見ていた

その目線の先には、空をかける虹。



虹から目線を戻すと、真威ちゃんの姿はもうなかった。


しばらく虹を眺めてたら、顔に冷たい物が落ちた



「え…嘘ι」



ザァァァァァァァア..



「最悪…」



また雨が降ってきた。



は僕を溶かし



真威ちゃんの笑顔でほてった頬を雨が冷やす。


「…帰ろう」


雨も虹も君も、俺の気持ちを溶かしてしまうんだね…








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