「…あぁ、わかった」

「どうしたんですか、銀さん?」

「あ…いや。ちょっと出て来る」

「え。雨降ってますよ!?」



電話がなったのはついさっきだ

誰かと思えばなんとあの高杉

きけば真威が真選組のやつらぶった切って来たらしい

そんで船を出て行った



『俺も探すが…。真威を探すの手伝ってくれ…』



あのプライドの塊みてェな高杉が、俺に頼み事して来るなんて奇跡だ

まぁ、それほど真威を大切にしてるって事なんだろーけど



新八が言った通り、外は雨が降っていた

空は分厚い雲で覆われていて、月の光なんて届かない

こんな暗い道を真威が一人で歩いてるなんて考えただけで気が焦る

早く見つけてやらねーと……



真威は純粋な子だ

優しくて可哀相な子だ


手に入れたモノ全てを愛して、大切にしてしまった

どちらかを大切にするなら、どちらかを捨てなければならない事を知らなかった

だから真威は今、全てを失おうとしている



「はぁ…見つけた」


真威を探して1時間くらい

やっと真威を見つけた

小走りですぶ濡れの彼女に近づいて行くと、パッと明るい顔で振り向いた



「高杉様……?」

「高杉じゃなくてごめんな」

「ぁ…」



俺の顔を見て、高杉じゃないと知って落ち込んだような…。でも、ホッとしたようなそんな表情を見せた

やっぱり真威の中の1番は高杉なのか…と、再確認してしまった



「‥どうした?びしょ濡れじゃねーか」

「うん…ごめん」

「なんで謝るんだよ…ι」



ワザと知らないフリをした。真威が自分で話してくれるのを待とうと思う



「どうした?高杉となんかあったか?」

「…っ…ぅ」



真威は純粋な子だ


だから高杉から言われた事は素直にきいてしまうし、向けられた好意を素直に受け取る。

それ故に真威は、それを罪だと考え自分を咎め、全てを抱え込んでしまう。

高杉も真選組のバカどもも、それに気付かない。俺だけが知っている。だから、俺が真威の唯一の支えになってやろうと思った



「私…どうしよう。どうしよう……っ」




真威は何も悪くねェ。なのになんで、真威が泣かなきゃいけねーんだ


雨に濡れるのも構わないで、今にも崩れそうな真威を抱きしめた



「大丈夫だ真威…。誰もお前を攻めたりしねェから」


「それが怖いの…。私がいけないのにっ…許されるのかと思うと−−っ」


「許すもなにも、真威は何も悪くないだろ。真威はただ、周りの全てを好きになっちまっただけじゃねーか」



真威は悪くねェ

悪いのは真威に全てを背負わせた、野郎達

悪いのは真威に偽りの楽園を与えた奴ら




造りものの楽園に君は独りで




「俺が真威を全てから守るから」


他の野郎の目の届かない楽園で−−…






series end


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