鬼兵隊…過激派攘夷志士達の集まり。


その頂点に君臨しているのは、高杉晋助。



彼に一生ついて行く。

私もそう決めた鬼兵隊の一人だった



そう私は『蛾』だ

高杉晋助という、光に集まった『蛾』の一匹

光は真っ直ぐだ

彼の性格は光に似ていると思う


たまに…すごく稀にだけど優しいときがある

光の屈折だと思う






「高杉様。お呼びですか?」

「あぁ」


満月の夜

静かに佇む船の上で、彼と彼女は話を始めた


「真撰組に潜入して来い」

「…はい?」


高杉の言葉に、真威は耳を疑った

高杉は真威に背中を向けたまま、静かに言った



「お前の顔はまだ奴らにバレてねェ。だから、真撰組に潜入して情報を流せ」



高杉の言っている事は実に道理にかなっている

だが、真威はどうしてもその仕事を受け入れたくなかった


「…真威…?」

「あの…真撰組に潜入したら…高杉様に会えなくなりますよね…?」


真威の台詞に高杉はピクっと反応する

真威は切なそうに彼の背中を見つめ、意を決したように目を閉じた



「すみません、生意気言って…。

私…頑張ってきますね」


彼女はそう言って、その場を離れようとした



―――…が。



「…え」



不意にふわりと抱きすくめられ、一瞬戸惑う

背後から回された、彼のモノであろう腕にそっと触れる


「死ぬな」

「はい」

「必ず俺の隣に戻って来い」

「……必ず…」




したのは君の




私は『蛾』だ

高杉晋助という光に集まった『蛾』の一匹


悪虐非道の彼も、時に仲間に優しさを見せてくれる

意外な一面


私は彼のそこに惹かれた

私はそんな馬鹿な『蛾』







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