貴方にとって私は所詮、籠の中の鳥なんだね……


だって、そうでしょ?


貴方はいつだって、私を苦しいほど痛めつけて最後には優しくする

籠の中の鳥が寂しいと哭いても餌をやる時だけしか構わないのと同じだわ。





「…はぁ、はぁ」


「今日も随分と殴られたみてぇだな」



『せっかく綺麗な顔してんのにな』と、彼はボロボロの私を見て嘲笑った



いつもの屋上で、女子達に殴られる私を黙って見下ろしている

女子達は気付いてないみたいだったけど



「おめぇが助けんなっつったからなァ…。一言、助けてくれって言やぁ、助けてやんのによ」


「あなたの助けなんかいらないわ」




私が高杉くんにそう言って、屋上から出て行こうとした時だった

いきなり暖かい感じが、体を包んだ



「痛むか?」

「…ッ」



殴られて青くなった腕の部分を、高杉くんはわざと強く握る

私が痛がるのを見て、おもしろがってるとしか思えない



「お前強情だよな」

「そうゆう性格ですから…ッ」



カッターで切られた頬の傷を、後からペロっと舐められた

ジン…としみて、痛みがはしった



「なんで助けろって言わねーんだ」



いつも……

最近はずっとこんな感じだ。


私が殴られているのをただ傍観して、傷を更に痛めつけて、最後に……

とても辛そうにそう言う



「こんなにボロボロなのに…なんでだ?」



わからない人だ。

私を心配してくれてるなら、すぐに止めてくれたらいいのに



「痛てぇか?」



そっと呟いて、優しく優しく私を抱きしめてくれる

わからない…

どうしてこんな事するの?





何故だかわからないけど、それを愛だと錯覚しそうになるの


もしかしたら貴方は、鳥という玩具を逃がさないようにそうしているだけかもしれない


だけど私は−−−…



所詮は籠鳥、なんだね



自由に空を飛べず、籠の中で踊ることしかできない憐れな鳥


私を憐れ、憐れと笑う貴方


それでも鳥は主人の為に歌を歌う



それでも私は貴方に微かな愛を感じる








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