「…」
「…」
すっかり日が暮れた道を手を繋いで歩く
いや、繋いだはいいが案外恥ずかしくてお互い無言
真白の場合は、怖くて喋る気にもならないだけかもしれないが……
「…暗くなっちゃったね」
「そうだな。もう夏も終わりだな…」
真白の言葉に俺は答える
よく考えたら、真白の恐怖が少しでも和らぐように会話をしてやるのがいいんじゃねぇか…?
何、恥ずかしがってんだよ俺は…ι
「カカシ先生はまだ任務なのか?」
「うん、そう。もうすぐ帰ってくる頃だと思うけど……」
繋いだ手から温もりが伝わってくる
ガキじゃあるまいし、このくらいで動揺するわけにはいかない
「カカシってさ、本当にヘンタイなの。お兄ちゃんなんて、一生呼んであげないんだからっ」
「ははっ。でも、家族なんだろ?」
俺がきくと少し恥ずかしそうに俯きながら、真白は頷く
そして、でもね…と続ける
「私は人を好きになっちゃいけないから…」
あぁ、そうか
真白には呪いがかかってる…
『愛した物を壊す』呪いが−−…
そんな事、忘れちまうくらい真白はいつも笑顔で無邪気で…
一歩間違えば世界ごと壊しちまうような力を持っている様には見えない
だから真白は自分から『好き』だとは言わない
たとえどんなに大切に思っていたとしても、口に出して言うのは『好きじゃない』の一言
「大丈夫だろ…」
「え…?」
俺が言うと、真白はきょとんとした顔を向けてきた
こんなに可愛い真白が…
こんなに皆に愛されてる真白が……
誰も愛せないなんて不公平じゃねーか…
「好きになっても大丈夫だ。真白に好かれたら皆、嬉しいからな」
「えっと…」
俺の言葉に真白は、少しだけ顔を赤くした
それから言いにくそうに、小さく口をひらいた
「それって…シカマルも……?」
「えっ」
思いもよらない言葉に俺は度肝を抜かれた
や、やばい…
そ、そんな…なんつーか…告白じみた事できるか!!
「ねぇ…シカマルも嬉しい?」
「Σ///」
こんな可愛い真白に向かって『嬉しくない』なんて言えるかよ…!
「まぁ…う、嬉しい…だろ、ふつう…///」
「ほ…
「本当にぃ?」
「きゃぁぁぁあ!!」
「Σうわっ!?」
いきなり背後から声が聞こえて真白が悲鳴をあげて飛び上がった
そして例の如く俺に抱き着いて来た
俺もいきなり聞こえた声と、真白の悲鳴に驚いて、真白を支えきれずにこけた。
だせぇ…ι
悲鳴と衝撃と横転と
「なぁにやってんの」
「か、カカシ先生!?」
「カカシ!?」
「うん。さぁ、離れようか」
「ちょ、カカシ〜!」
「シカマル。真白送ってくれてありがと。もう大丈夫だからw」
「は、はい…ι」
(さ、殺気が怖ェ…ι)
【怖がりに恋して】end
2011*07*17
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