03 | ナノ
最近の話だ。
グラン様はとても悲しそうな顔をしてわたしを見つめていた。オトウサンは頷いていた。「すばらしい」わたしは起き上がって、眼鏡をかけた男の人に向かって「ここは」と訊くと、オトウサンはあなたの家ですよと言ってわたしに近付いてきた。
グラン様もオトウサンも初めてみる顔だったけど何故か知っていた。
「エイリア石は、本当に素晴らしい。死んだものも生き返らせる」
手の平を見てみると、頭がクラクラとした。空気が重い。
「本当に、すばらしい」
オトウサンは満足そうにわたしを見ては頷いた。グラン様はわたしから目を逸らして地面を見つめていた。オトウサン、とオトウサンにむかって言うと、オトウサンは目を開いてすばらしいすばらしいと復唱した。
わたしは、死んだ人間らしい。