01 | ナノ


「君は笑わないね」

当然だ。わたしは人間であり人間ではないのだから、笑うことは許されない。だから笑わないのだ。オトウサンはわたしの頭を撫でてわたしの名前を呼ぶが、違う。わたしはもう一つの名前にしか返事をしない。
ガゼル様はわたしを同情するかのような眼差しで、君は笑わないね、と言った。笑うことも泣くことも、忘れた。忘れたというより封印したと言った方がいいのかもしれない。
わたしはオトウサンの理想、なんだそうだ。

「そうですか」
「そうだよ」
「でもわたしに笑うことはインプットされていないので笑うことはできないのです」
「まるで機械みたいに…バカだな君は」

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テーマ「人外ファンタジー」
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