まだ身体に熱がこもってる。ぽつぽつの雨が降ってきたので、それぞれ寝る場所へと帰る。初めて男の人に抱かれた、初めて男の人に対してドキドキした時間でもある。 ローさんは明日の夕方に出航するらしい。ミリハル草は諦めたのかな。 「明日の夕方まで待ってる。それまでに答えを決めていてほしい」 そう言ってローさんが言った。明日も早いから、もう寝よう。 * 早朝北側の森の敷地にはいる。探す能力があれば楽だったのになあ。 雨はまだ続いている。とりあいず傘はさしているけど、逆に邪魔な様に感じてならない。 雨の粒が葉っぱにあたって音楽会を開いていて、すこし気持ちがいい。 「やっぱりないや…」 どこを探してもない。さすがに珍しい薬草とだけあって、全然見つからない。…やっぱりすぐに見つかってほしいな。あの男の子の母親を助けてあげたい。死んだ後じゃ、おそいんだ 4時から探して10時間ぐらい経ち、雨もひどくなってきた。体に当たる雨が痛い。ずいぶんと服も髪も濡れた。それでも探す。木を避けて向こうの木の根元をみる。 「……あ、あった、」 2つ咲いていた。南の村まで何時間かかるだろう。ちょうど男の子の分と、ローさんの分。 もう体力がない。能力を使う気力も残ってない。南の村まで移動する手段は走るしかないようだ。 ローさんの船はどこにあるんだろう。少し森が暗くなってきたし、迷うと困るので最後の力を振り絞って「ライト」と唱えると指先が光った。走って、走って、走った。 ◇ |