「明日出航するぞ」 「やっと出航だってよー!」 キャスケットが向こうにいるペンギンに声をかけた。やっとで何だやっとって。「あれ、キャプテンどこに、」「ちょっと酒のんでくる」そう言って酒場に向かった。 「お、トラファルガー・ローのお出ましたぞー!」 「……?」 酒場にいるオヤジがおれを見た途端酒場にいる奴らに叫んだ。なんだ?殺すのか?ナマエの姿が見当たらない。「いやあアンタさんがいるおかげで北側が来なくなったんだ」酒くさい老いぼれた爺が笑いながらおれの背中をばんばんと叩く。 「おいナマエはいないのか?」 「ナマエ?ああ、暇があればいつも花を摘みにいってるよ」 「夜だぞ?」 「ああ。朝でも昼でも夜でも摘みに行ってるよ」 「どこにいるかわかるか?」 「森の近くにたくさんの花が咲いてて、そこだと思うんだが…」 「悪いな。ありがとう」 酒場を出て今日行った森へ足を運んだ。花が好きなのかあいつは。向こうで光っているモノがある。ナマエか? 「ナマエ」 「…あ!ローさん!」 「何してんだ?花摘みか?」 「うん。花好きなんだよね。あたしが育てた花もあるんだ」 「それはすごいな」 「でしょ?」 光の正体はナマエの指先だった。これも能力か。ナマエが花を摘むのをやめ、左手に持っていた花束をおれに向けてきた。「どーぞ」「え、」 「ローさんの船にお花ある?」 「…そういえばないな」 「じゃあこれあげるよ。」 ナマエの手から恐る恐る花を受け取るとナマエは笑って花の名前を言った。「これはグオリオーサって言うんだ」 「グオリオーサ?」 「花言葉は『栄光』、別の花と一緒に花瓶にいれるものいいと思うよ」 「……、ナマエ」 「え、わっ!」 自分自身でもなんでかわからなかった。ナマエの手を引いて自分の方に寄せ、抱きしめた。ナマエの指先から放っていた光がだんだん消えていく。抱きしめる力を強めるとナマエが肩をあげて「ロ、ローさん」と小さな声で言った。 「ありがとう」 「どう、いたしまして」 「やっぱりお前おれんとこのクルーになれよ」 「だって、この島から離れられないし…、」 「絶対なれ」 「…あたしがほしいなら買わないと無理だよ」 まだいうか、こいつは。初めてあった時もそんな事を言ってた気がするな。 「じゃあ、おれをやる」 「……え!?」 「おれの首は2億だぜ?」 「え、う、うん」 「おれはお前に命を懸ける。それなら2億やるのと一緒だ」 「そんな、無茶苦茶な!」 離れようとおれを押すがそれに負けないように力を入れて抱きしめる。しばらくしてナマエは諦めたのか押すのをやめて溜め息をつく 「……」 ナマエは何も言わない ◇ |