ノイズ | ナノ


「ナマエ!」頭がクラクラして、足も震え出した。痛い、とかそういう部類のものじゃない。それを越えたもので、段々と体の痛み、全身のの感覚がなくなってきた。「ナマエ、ナマエ」ローさんの声も小さく遠くなっていく。熊耳は、倒れている。「よかった、」自分の声も聞こえない。でも、よかった、とちゃんと言った。「ベポ!ナマエを、」「アイアイ」「ここじゃ危ない、寝れるところを探せ」



走馬灯って言うんだっけ。昔の記憶が走馬灯のようにぼんやり、うつる。「成功例は、これだけです。」「4235だけか」「はい。」4235、4235、4235?なんの、数字、だったっけ?「…危険だ」「殺すんですか」「今の記憶を消そう。せめてもの…」「…わかりました」暗い、暗い石の上で寝転がっているのは、小さなあたし。ボロボロの服を着て、自分の上でに向かって何かを唱えている。プシャッ、血が舞った。やめなよ、あたしが言っても小さなあたしは聞く耳も持たず、腕に傷をつけていく、痛くないの、そう言った瞬間小さなあたしは泣いた。顔が泥だらけだった。よごれている。
猛獣に近づくように、あたしは小さなあたしに近づいた。

「こないでっ…!」
「え?」
「また、痛いことするんでしょう?もう、やだ、」
「しないよ」
「やだ、やだやだ」
「ねえ、しないってば」

「しないよ、助けてあげるだけだから、痛くないし、辛くなくなる」

後ろから聞こえて声は、太い男の声だった。振り向く。白い白衣を着た白髪のおじさんは、牢を開けて、小さなあたしの腕を取り、向こうの海軍の服を着たおじさんに声をかけた。「ガープ中将」ガープ中将と呼ばれた男はこちらに踏み寄ってきて、小さなあたしをみる。

「殺されるかもしれんぞ」
「でも、この子は個押されないでしょう、そこらを歩いてもこの子のような子供には会えませんから」

白髪のおじさんは、小さなあたしをみて微笑んだ。小さなあたしは体を丸くしている。「記憶は戻ってしまっても、デスとアレは使っちゃいけないよ」アレ?アレってなに?「アレ、とは?」「『アリウム』です」「どういう能力なのかは言えません。…でも使っちゃいけない」「肝に命じておこう」「…さあ、おいで」小さなあたしの腕は、傷だらけだった。

「ペイン」

小さなあたしはペインと唱えた。今度は足がいきなり血を流し始める。プシャッ、と。白髪のおじさんは苦しそうな顔をして小さなあたしを見下ろし、頭を優しく撫で「ごめんよ」と、言った。「今の傷の部分に手を当て、ヒールと言ってごらん」手におさまりきれない傷を、小さなあたしは懸命に覆って、「ヒール」と唱える。すると白い光が傷を中心に囲んで、数分もしないうちに今つけた傷は綺麗に消えていた。

「ありがとう」

白髪のおじさんの胸ポケットには、ミョウジ・ハーリー、という名札が付けてあった。小さなあたしに色々なコードがつけられる。「最後に、おしえてあげよう。『ブバルディア』どうしてもつらくなった時に、唱えてごらん。自分も、周りの人も幸せになった気持ちになるんだ」

アリウム、深い悲しみ、花言葉だ。そしてこれも、花言葉だ。「ブバルディア」幸福な幸せ。



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